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脊椎・脊髄について

脊椎・脊髄の構造

人間の脊椎は上から頚椎と呼ばれる首の骨が7個、
胸椎と呼ばれる肋骨のついている骨が12個、
腰の骨、腰椎が5つ、その下に仙椎、尾椎と言われる
骨盤の一部となる骨で構成されています。

脳から出された命令は図1のように脊髄を通り
そこから枝分かれした神経によって手足に伝えられ
ています。

下図2は脊椎の模型です。脊椎は前方に椎体、
後方に椎弓という骨がありその中に脊髄が通る脊柱管と
いう管(点線で囲まれた部分)があります。

脊柱管の中には脊髄がありその前後に後縦靱帯、
黄色靱帯と呼ばれる靱帯もあります。

また、椎体と椎体の間にはクッションの役割をしている
椎間板があります。

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【図1】

 

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【図2】上記図をクリックすると拡大図をご覧いただけます。

 

 

腰痛について

腰痛と言うと「ぎっくり腰」という言葉がまず浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
「ぎっくり腰」自体にはっきりした定義はなく一般的には急に起こった腰痛全般を指す言葉となっています。
「ぎっくり腰」は若い人に少なく30歳以上の人に多いことから腰椎の椎間板や椎間関節に加齢現象が
関係しているものが多いと考えられています。

具体的には腰の筋肉の肉離れや炎症がおきている(筋・筋膜性腰痛症)、
骨の間の関節に捻挫が起こって痛みを起こしている(腰椎椎間関節捻挫)、腰椎椎間板ヘルニア、
腰椎圧迫骨折等があげられます。

また腰痛は尿管結石や胆石、胃、十二指腸、膵臓の病気、子宮内膜症など婦人科の病気、腹部大動脈瘤などで
も起こります。なかには緊急の処置を要する場合もあるのでいつもと違う痛みや急に強い痛みが出た場合には
とりあえず病院で原因をはっきりさせることが大切です。

 

 

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは?

椎間板はよく”あんこの入った餅”にたとえられます。
椎間板も外側に餅の皮に相当する線維輪と言われる
硬い組織があり、その内側にあんこに相当する髄核と
呼ばれるものが入っています。

あんこの入った餅は上から強い力で押しつけると中身
が出てしまいますが、椎間板も重いものを持ったりして
椎間板に強い力がかかると線維輪が破れて髄核が飛び
出します。その状態をヘルニアと言います。

飛び出した髄核が神経を圧迫すると足や腰、殿部に
痛みやしびれが出たりします(図3)。

ヘルニアの診断は問診や診察によりおおよそ可能ですが
MRI検査を行うことによりさらにはっきりします。

下図4はヘルニアの患者さんのMRIです。

この方は2カ所にヘルニアが出ています。
左側のMRIは腰椎を横から見たものですが赤、黄色で
示した後方へ突出した黒い部分がヘルニアです。

右側上は第4腰椎と第5腰椎の間の椎間板の部分を
輪切りにして見たものですが赤い矢印で示した黒い部分
がヘルニアで脊柱管内に突出して神経を押しています。

下の正常部のMRIと比べると神経が押されている状態
が良くおわかりいただけると思います。

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【図3】上記図をクリックすると拡大図を
ご覧いただけます。

sp04_b【図4】上記図をクリックすると拡大図を
ご覧いただけます。

 

【ヘルニアの治療】

ヘルニアの治療は大きく2つに分けられます。第一段階は保存療法と言われるものです。
わかり易く言えば切らずに(手術せずに)治す方法です。

まずはできるだけ安静にして動く場合にはコルセットをつけたり、痛み止めを飲んだりしながら痛みが引くのを
待ちます。安静をとるだけでかなりの人は症状が軽減します。

もし、安静にして様子を見ても痛みが引かない、安静にしていても痛みが強い場合にはブロック注射と呼ばれる
注射を行う方法もあります。

ブロック注射は通常の血管注射や押していたいところにする局所注射ではなくヘルニアによって圧迫されている
神経の部分に直接痛み止めの薬を入れると言うものです。(神経の近くに注射をするというのは怖いと思われる方も
いるかと思いますが特に難しいとか危険というわけではありません。)

だいたい週1回の割合で行い、痛みの経過にもよりますが4~5回やってみます。

ではどういう場合手術をするのか?ヘルニアはがんでは無いので絶対手術しなければならないことは
ほとんどありません。手術を行うのは保存的治療を行っても生活に困る痛みが続く、痛みにより仕事ができない、
神経の圧迫が強く排尿障害(尿が出なくなったり残尿が多くなったり)がある、
足の筋力が落ちたりしている等の場合だけです。

腰のヘルニアは初期から適切な治療を行えば約80~90%の人が保存療法により症状が軽快します。

 

 

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは?

先にも書きましたが脊髄は脊柱管と呼ばれる骨で
囲まれた管の中を通っています。

脊椎が使い過ぎや老化で変形してくると図5のように
骨棘という骨の棘ができたり、
黄色靭帯が厚くなったりして脊髄を圧迫します。

そのため足の痛みやしびれ、力が入りにくくなる等の
症状が出ます。このような状態を腰部脊柱管狭窄症と
言います。

腰部脊柱管狭窄症には間欠性跛行と言われる特徴的な
症状が見られます。
間欠性跛行とは歩き出すと足の痛みしびれ、
脱力が強くなってきてしゃがんだりして休むとまた元に
戻ってまた歩けるようになるという症状のことです。

症状が強い人は50mも歩かないうちに脱力や痛み痺れ
が強くなり歩けなくなってしまう人もいます。

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【図5】上記図をクリックすると拡大図を
ご覧いただけます。

 

【腰部脊柱管狭窄症の治療】

腰部脊柱管狭窄症の治療も第一段階は保存療法です。
痛み止めや神経が圧迫されている部分の血流を
良くする薬を飲んだり、ヘルニアと同じようにブロック
注射など保存的治療を行います。

それでも症状が取れず生活に困る場合は手術を考える
ことになります。

図6は脊柱管狭窄症の患者さんのMRIです。
左端の腰を横から見たMRIでは第4腰椎から仙椎の
部分で脊柱管が圧迫され細くなっています。

中央はその狭い部分を輪切りにして上から見たもので
すが脊柱管が圧迫され小さな三角形になってしまって
います。(右端の若い人の正常なMRIと比べるとわか
りやすいと思います。)

実際の手術では脊髄を圧迫している肥厚した靱帯や骨
を取り除きます。

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【図6】上記図をクリックすると拡大図を
ご覧いただけます。

 

 

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアとは?

頚椎(首の骨)も大きさや形は異なりますが構造は
腰椎と同じで脊髄から神経が枝分かれして腕や手を
動かしたり感覚の情報を脳に伝えたりしています。

よって腰と同様、ヘルニアが出て神経を圧迫すると腕
や手に痛みや痺れが出たり、腕や手の筋力が落ちたり、
細かい作業、例えばお箸を使ったり、ボタンをかけたり
ということがしにくくなったりします。

図7は実際の頚椎椎間板ヘルニアの患者さんのMRIで
す。頚椎の3、4番の間の椎間板から赤い矢印で示した
ようにヘルニアが出ています。

右上はその部分を輪切りにしてみたものですが脊髄は
ヘルニアにより圧迫され変形してしまっています。

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【図7】上記図をクリックすると拡大図を
ご覧いただけます。

 

【頚椎椎間板ヘルニアの治療】

首のヘルニアも基本的な治療方針は腰の場合と同じです。痛みやしびれが軽い場合には痛み止めの薬などを
飲んだり、頚椎カラーをつけたりしてできるだけ安静にします。
痛みが強い場合は入院して持続牽引を行ったり、腰と同様にブロック注射を行ったりします。

それらの治療が無効で耐えがたいような痛みが続いたり手や足の筋力低下などがあり改善の傾向が無い場合には
やはり手術を考えます。

 

 

脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折とは?

脊椎圧迫骨折とは名前の通り背骨に圧迫力がかかり
背骨(椎体)が潰れてしまう骨折です。
最近特に多いのは高齢者の方の圧迫骨折です。

加齢と共に骨粗鬆症が進行すると骨が弱くなりちょっと
した外力(尻餅をついたり、重いものを持ったりしただ
け)で骨折したりすることがあります。

また、若い人では作業中に高い所から転落したり、
最近ではスノーボードで着地に失敗して腰から落ちて
受傷する人もいます。

図8は脊椎圧迫骨折の方のレントゲン写真です。
横から見たレントゲンですが第11胸椎と第1腰椎の
前方(矢印の部分)が潰れてしまっています。

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【図8】上記図をクリックすると拡大図を
ご覧いただけます。

 

【脊椎圧迫骨折の治療】

脊椎圧迫骨折は、じっと寝ていれば痛みは少ないのですが、受傷直後は起き上がりの動作などで強い痛みがあり
入院が必要になる人もいます。治療はギプスやコルセットをつけて骨折部の安静を保つようにすることです。

痛みは局所の安静と痛み止めの内服などでだいたい2、3週間くらいで落ち着いてきます。
しかしその時点でギプスやコルセットをのけると完全に骨がくっついておらず椎体の変形が進むことがあるため
最低3ヶ月くらいは装着が必要です。

また、多くの場合はギプスやコルセットで治療可能ですが骨折部の変形の程度が強く脊髄を圧迫している場合や
骨折した骨がくっつかず痛みが残ってしまった場合には手術が必要になることもあります。