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膵嚢胞性疾患

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膵嚢胞性疾患

【仮性嚢胞】

急性膵炎や慢性膵炎を基盤に発生するものがほとんどであるが、外傷性・腫瘍による二次性・特発性のものもある。
成因は、アルコール性50%~80%、胆石症5~10%、外傷性1~10%の頻度となっている。

合併症としては、嚢胞内出血や腹腔内出血、消化管への穿孔、嚢胞内感染などがある。1979年Bradleyらは、
US(超音波検査)による経過観察を基に、嚢胞発生後6週間以内の例では、自然消退が40%にみられ、
合併症の発生は20%にとどまるのに対し、7~12週経過例ではそれぞれ8%、46%、
13~18週経過例ではそれぞれ0%、75%と、経過と共に自然消退の可能性は減じ、
逆に合併症の発生率が高まることを報告し、発生後6週間以上経過した仮性嚢胞は手術適応とすべきとを主張した。

以来「急性期の嚢胞は消退しやすく、慢性期の嚢胞は消退しにくい」との考え方が主流となったが、
1990年にYeoらおよびVitasらはCTによるより長期の経過観察の分析から、
Bradleyらとは対照的な成績を得、より待期的、保存的な治療法の妥当性を説いている。

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このような相反する成績が得られた原因として、検索方法としてのUSとCTの精度の違い以外にも、
患者層・成因・嚢胞の大きさなどの違いや診断・治療上の様々な進歩の関与が考えられる。

1993年税所らは、嚢胞の大きさによる消失率は、5cm未満では41%、5~10cmでは25%、
10cm以上では17%であったと述べている。

 

(A)急性膵炎に伴う嚢胞の治療

急性期には急性膵炎に準じた基本的治療を行う。症状の軽度なものや合併症のないものは、
エコーやCTで慎重に経過観察する。

経過観察で退縮傾向のみられないものや急速に増悪したり合併症が発症したりするものではUS・CT下に穿刺吸引
またはドレナージを行う。(ドレナージ:管を挿入し体外に貯留している内溶液を排液する。)

嚢胞が膵管と交通している場合には難治性の膵液瘻を形成する事があり、外科的内瘻術や経皮的または内視鏡的に
嚢胞内瘻化造設術が行われている。

※内瘻化:体外に排液するドレナージ術を外瘻化というのに対し、腸などの体内に排液する場合を内瘻化と呼ぶ。
 胃-嚢胞内瘻術、十二指腸-嚢胞内瘻術などがある。
 しかし合併症として嚢胞内感染や内瘻の早期閉塞などがある。

 

(B)慢性膵炎に伴う嚢胞の治療

嚢胞が小さくて無症状の場合には経過観察で良いが、

1) 無症状でも大きいもの
2) 疼痛など症状のあるもの
3) 嚢胞による胆管狭窄や消化管狭窄のあるもの
4) 感染、出血、破裂などの合併症のあるもの

などは治療の対象となる。慢性膵炎に伴う嚢胞では、嚢胞そのものの治療より慢性膵炎の治療を基本として
考慮されなければならない。

嚢胞に対する手術は、主に嚢胞の部位と膵菅の狭窄・拡張の部位との関係から術式が選択される。
すなわち、

ⅰ)狭窄・拡張が限局して嚢胞が近くに存在する場合は膵切除術
ⅱ)嚢胞が狭窄・拡張より離れて頭側に存在する場合は膵切除術+内瘻術
ⅲ)狭窄・拡張がない場合は内瘻術
ⅳ)拡張が全体に及び、かつ嚢胞と主膵管の交通がみられる場合には
膵菅空腸側側吻合を行うことを基本とする。

 

【非腫瘍性真性嚢胞】

先天性嚢胞、単純嚢胞、貯留性嚢胞など

 

【腫瘍性嚢胞】

(A)漿液性嚢胞腺腫・腺がん

中年女性の膵体尾部に好発する。壁の薄い径2~3cm以下の小嚢胞の集簇と間質結合織からなる多房性嚢胞である。
嚢胞の中心部より辺縁にかけて大きくなる傾向がある。
ほとんどは良性かつ単発性の腫瘍であるが、稀ながら悪性化例が報告されている。

(B)粘液性性嚢胞腺腫・腺がん

中年女性の膵尾部に好発するが、小さなものは頭部にも多い。単発性でしばしば石灰化を伴い、
厚い繊維性皮膜に覆われた径2cm以上の嚢胞からなる多房性嚢胞である。嚢胞は中心部で大きく、
辺縁で小さい傾向にあるが、まれに大きな単房性嚢胞の場合もある。

本腫瘍の悪性化(6~39%)が認められ、隔壁や嚢胞壁から内腔に突出する乳頭状隆起があれば悪性が疑われる。
診断がつけば手術の適応とされる。

(C)〈粘液産生〉膵管内乳頭腫・腺がん-いわゆる粘液産生腫瘍

高年男性の膵頭部に好発する。30%以下の頻度で多発性病変が認められる。腫瘍の占拠部位により主膵管型、
分枝型、混合型に分類される。

膵管は粘液貯留のため拡張し、大量の粘液貯留がある場合には十二指腸の主乳頭開口部が開大し粘液が排泄される
ようになる。膵炎発作を繰り返す事が多い。また、悪性化することがあり良悪の判断が難しい。

嚢胞径が30mm以上あるいは主膵管型で主膵菅径10mm以上ある場合、壁在結節隆起(5mm)を有する場合、
総胆管の拡張を生ずる場合は悪性の可能性が高いため積極的な手術による切除の適応となる。

 

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【実性腫瘍の二次的嚢胞化】

A)Solid cystic tumor(SCT) 10~30歳代の 若年女性の膵体尾部に好発する稀な腫瘍である。
病変の境界は明瞭で充実性に増殖するが、中心部は変性壊死、出血により嚢胞状を呈する。
悪性化は極めて稀であるが、中高年齢では転移を伴いやすく、また、切除例でもかなり年数を経て転移再発する
ことがある。

B)肉腫、内分泌腫瘍など