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胆石症

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胆石症

【疫学】

胆道、すなわち胆管や胆嚢に石ができる病気を胆石症といいます。

胆石のできる場所により肝内結石・胆嚢結石・総胆管結石と呼ばれます。一般に胆石症のほとんどは胆嚢結石です。
肝内結石は、肝内胆管の狭窄が原因になっている場合が多く、極めて稀な病気です。

総胆管結石は、胆嚢から胆嚢胆管を通って総胆管に石が落ち込む事が原因になっている場合がほとんどです。
胆石はその成分によりコレステロール系結石とビリルビンカルシウムが主成分の色素結石に分けられます。

胆石症の原因は肥満、肝臓病、糖尿病、妊娠などであるといわれています。
Forty~Fifty(40~50歳代)、Female(女性)でFatty(肥満)の4Fの人に胆石は多くみられ、
男女比はおよそ1:2と報告されています。

 

【症状】

(1)痛み

胆石症の主な症状です。胆嚢は右上腹部にあり、“胃が痛い” とか“みぞおちが痛い”と表現される事が多く、
その痛み方も軽い鈍痛からお腹を抱え込むような激痛まで様々です。
また放散痛と呼ばれる右肩や右背中に痛みを訴えることもあります。
脂肪分の多い食事をしたあとには胆嚢が収縮するため、痛みが生じることがよくみられます。

(2)嘔気・嘔吐

(3)黄疸

(4)無症状胆石(Silent Stone/サイレント・ストーン)

検診時や他の病気の検査時にたまたま胆石が見つかる場合で、胆石保有者の約1/2~1/3を占めるとされています。
一生症状が出なければ治療をする必要はないのですが、次にあげるような合併症が生じる場合もありますので、
予防的に治療をすべきかどうかについてはいまだに結論はでていません。

結石の大きさは、痛みや、以下の合併症が見られるかどうかには関係がないようです。
手術をするかどうかは個々の判断に任せるしかありません。

(5)合併症

胆石症をそのまま放置すると時として次のような問題を引き起こす事があります。

急性胆嚢炎:
結石が胆嚢の出口に詰まって炎症を起こします。胆嚢がはれ、発熱や持続性の右上腹部痛を認めます。
肝機能障害も引き起こします。それでも放置すると胆嚢が破れて腹膜炎を起こす危険性があります。

急性膵炎:
総胆管結石が膵臓で作られた膵液の出口を塞ぐことで起こります。重症化すると致命的になる場合もあります。

閉寒性黄疸:
総胆管結石が十二指腸への出口を塞ぐことにより胆汁が腸に排泄されなくなり黄疸が生じます。
尿の色が濃くなり、肝機能は障害され、また便の色が白っぽくなります。

胆嚢がん:
胆石症の1~2%に胆嚢がんを伴い、胆嚢がんの2/3~3/4に胆石を合併しているといわれています。
胆石との因果関係ははっきりしませんが、胆石による長期にわたる慢性刺激が関与しているともいわれています。

 

【検査】

(1)超音波検査

検査に苦痛を伴わないので、胆石症を疑った場合には最初に行なわれる検査です。
しかし、食事をしている場合は胆嚢が収縮していてわかりにくくなることがあり、絶食でおこなう必要があります。

(2)腹部CT

超音波検査ではわかりにくい総胆管結石もわかることがありますが、結石の種類によっては、
超音波検査よりもわかりにくい事もあります。DIC-CTと呼ばれる、胆道造影をしながらCTを行なう方法があり、
かなり詳しい情報がえられます。X線を利用した検査で、苦痛はほとんどありませんが、
ヨードアレルギーのある方は、造影検査が出来ません。

(3)MRCP(磁気共鳴膵胆管造影)

MRI(磁気共鳴画像)により胆道系や膵管を映し出す方法で、苦痛はありませんが検査時に大きな音がします。
また、ペースメーカーやその他の金属が体内に埋め込まれている場合には、検査ができない場合があります。

(4)ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

内視鏡を十二指腸まで挿入し、膵管と胆管の共通の出口となっている十二指腸乳頭に細い管を挿入し、
造影剤を注入する検査です。患者さんへの苦痛が大きい事や、検査後膵炎を併発する可能性があることから、
画像の鮮明度はやや劣りますがMRCPで代用することもあります。

 

【治療】

(1)無症状胆石(Silent Stone/サイレント・ストーン)

検診時や他の病気の検査時にたまたま結石が見つかる場合で、無症状のため原則的には一生症状が出なければ
治療をする必要はありません。

しかし急性胆嚢炎や総胆管結石などの合併症が生じる場合もありますので、予防的に治療をすべきかどうか
その必要性についてはいまだ論議されているところであります。

近年の腹腔鏡下胆嚢摘出術における安全性の向上や低侵襲性から、いろんな合併症がなくてより安全に手術が
できるときに腹腔鏡下胆嚢摘出術をしておこうという考え方もあります。

急性胆嚢炎や胆嚢頚部の炎症による癒着の強い総胆管結石症などでは、腹腔鏡下胆嚢摘出術が困難となってきます。

(2)溶解療法

結石が純コレステロール結石に近い場合には胆石溶解剤を数ヶ月から1年程度内服することにより溶解され消失する
ことがあります。純コレステロール結石に近い結石は、全体の20%以下です。

(3)体外衝撃波破砕療法(ESWL)

溶解療法と同じく純コレステロール結石に近い場合のみ、結石を破砕する(こわす)ことができます。
結石を衝撃波で砂状に破砕したあと、溶解剤を内服します。

この治療ができる人は全体の十数%と言われています(腎結石の場合は95%程度)。
しかし、胆嚢の機能が十分でないと胆嚢内から結石が排泄されなかったり、破砕された小破砕片が総胆管に
詰まって痛みを引き起こしたり、黄疸が出現することもあります。

また、結石の消失した胆嚢に再び結石ができることもあることから最近は、腹腔鏡下胆嚢摘出術をおこなうのが
主流となっています。

(4)腹腔鏡下胆嚢摘出術

全身麻酔下にお臍の下に10mmの穴をあけて硬性鏡を挿入し、腹腔内をテレビモニターに映し出して手術を
おこないます。さらに右上腹部に2mm~5mmの穴をあけて胆嚢を把持する鉗子を挿入し、
更に左上腹部に10mmの穴をもう1つ開けて鉗子を挿入し手術をおこないます。

テレビモニターを見ながら手術をおこなうことや長い鉗子を使って体外から操作するため、
確実性や安全性は、開腹下胆嚢摘出術のほうがより高いのです。

しかし、腹腔鏡下胆嚢摘出術にはいろいろな利点があり、また手術の安全性が向上したことなどにより、
術前にこの手術が可能であると診断された場合には、95%以上の確率で安全に手術がおこなわれています。

また、腹腔鏡下胆嚢摘出術が手術中に困難と判断された場合には開腹下胆嚢摘出術に移行することにより
トラブルを回避することができます。

(5)開腹下胆嚢摘出術

以前に胆嚢周辺にまで及ぶ手術をされたことがある場合、胆嚢炎による周囲の癒着のために十分な視野が確保され
ない時や、胆嚢胆管内に結石がたくさん詰まっている時など、腹腔鏡下胆嚢摘出術が困難な場合におこなわれます。

胆石症の手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術あるいは開腹下胆嚢摘出術)をすると、胆嚢は摘出されてなくなってしまいます
が、胆嚢はなくなっても胆汁が胆管を通って十二指腸に排泄される機能は保たれます。

また、十二指腸乳頭部の括約筋による胆汁排泄の調節や小腸での消化機能で調節され、脂肪の消化吸収に問題を生
ずる事はほとんどありません。

【腹腔鏡下胆嚢摘出術と開腹下胆嚢摘出術の比較】

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(6)内視鏡的乳頭切開後総胆管結石摘出術

内視鏡を十二指腸乳頭部まで挿入し、胆管の出口(直径約1mm)を電気メスで切開して総胆管結石を摘出します。
結石が大きい場合には、特別な鉗子を用いて結石を破砕して除去します。
合併症としては、消化管出血、十二指腸穿孔、術後膵炎などがみられることがあります。

(7)開腹下総胆管結石摘出術、腹腔鏡下総胆管結石摘出術

術中に胆嚢胆管をバルーン(先に風船がついた管)で拡張させ、そこから総胆管内に内視鏡を挿入するか、
あるいは総胆管を切開して総胆管結石を取り出します。腹腔鏡下の手術は、開腹下より難しい手術となります。

 

【術中・術後の合併症】

(1)総胆管損傷

腹腔鏡下胆嚢摘出術は開腹下手術より操作が難しく、総胆管を損傷する可能性があります。
そのような場合には開腹して損傷部位を修復する必要があります。

(2)出血

胆嚢動脈の処理をおこなうときや胆嚢を肝臓からはがすときに出血することがありますが、
大出血は極めて稀なことといえます。
急性胆嚢炎の場合には、胆嚢の壁が充血しているために500ml程度出血することがありますが、
輸血を必要とすることはまずありません。

(3)細菌感染

急性胆嚢炎の手術時や、汚染された胆汁が腹腔内にこぼれた場合においては、腹腔内に膿瘍ができたり、
創部に感染をおこす可能性があります。その予防に抗生剤が投与されます。