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胆道がん

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胆道がん

【胆道】

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肝臓で作られた胆汁が、十二指腸に排泄されるまでの
経路を胆道と呼びます。
大きな大木に例えると木の葉っぱに相当する所が
肝細胞です。肝細胞で造られた胆汁(ビリルビン)は、
肝内の小さな枝に運ばれます。

これらが次第に大きな枝となり(肝内胆管)、
さらに大きな枝となって(左右胆管)肝臓の外へ出て、
肝十二指腸間膜という脂肪に覆われた組織の中で1本に
なり(総肝菅)、さらに膵臓内に入り(膵内胆管)、
十二指腸に開口します(乳頭部)。

胆嚢は総胆管と細い枝(胆嚢胆管)でつながった袋
です。食物が十二指腸を通過しない時は胆汁が胆嚢に
溜められ、濃縮されます。
食物(脂肪成分)が十二指腸を通過すると神経反射で
胆嚢が収縮し、胆汁が総胆管を通って十二指腸(乳頭部)
へ排泄されます。

胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける重要な働きをしていま
す。嘔吐時にみられる黄色い苦味のある液や、また便の
黄色い色のもとになるのが胆汁です。

 

【胆汁の流れ】

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【疫学】

胆道に出来たがんを胆道がんと呼びます。その出来る場所により、肝内胆管がん(肝臓がんの一種として取り扱わ
れます)、肝門部胆管がん、総胆管がん、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がんなどと呼ばれます。

2001年の全国統計では、悪性新生物による死亡者数は300,658人であり胆道・胆嚢がんはその内
15,556人(5.18%)を占め、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんについでがん死因の第6位でした。

男性の死亡数は7,092人(3.91%、8位)、女性の死亡数は8,473人(7.10%、7位)でした。

胆道がんは、胆道が肝臓と十二指腸をつなぐ経路であり、また膵臓の中を通るという解剖学的な特徴から、
肝臓、膵臓や十二指腸への直接的ながんの浸潤が起こりやすく、またリンパの流れが豊富であることから容易に
リンパ節転移を引き起こしてきます。

胆道がんは、胆管に沿って這うように拡がることが多く、はっきりとしたかたまり(腫瘤)をつくらないので、
早期にがんを発見し診断することは容易ではなく、発見時にはがんがかなり進行している場合が多いのです。

また、手術が可能な時期に見つかっても、膵臓がん同様に身体に大きな侵襲を伴う大手術(肝臓や膵臓さらに十二
指腸を一緒に切除する)になること、また、抗がん剤の効きが良くないことなどから、他のがんに比べて生命予後が
悪いとされており、早期発見が望まれます。

 

【症状】

(1) 黄疸

皮膚や目の白い部分が黄色くなります。胆汁が流れる経路にがんができると胆道が狭くなりこの場所より
上流(肝臓側)の胆管は圧が上がって拡張し、ついには胆汁が胆管から逆流して血管の中に入るようになります。
そのため、胆汁中に含まれるビリルビンという黄色い色素が全身にまわります。
これを閉塞性黄疸といいます。

黄疸が進行すると次に挙げるような症状が見られるようになります。

白色便:
胆汁が腸内に排泄されなくなると便の色が白っぽいクリーム色になります。

ビリルビン尿:
血液中のビリルビン(黄疸の基となる物質です)濃度が高くなると尿中に排泄されるようになり、
尿の色が茶色っぽく濃くなります。

かゆみ:
黄疸が出ると皮膚のかゆみもあらわれるようになります。
胆汁中の胆汁酸という物質がビリルビンと一緒に血管内に逆流するために起こる症状です。

(2) 腹痛

胆管内圧が上昇すると上腹部や右の肋骨の下に鈍痛が出現します。

(3) 腹部腫瘤

右の肋骨の下に腫瘤として胆嚢を触れることがあります。これは、胆嚢がんの腫瘤を直接に触れるときや、
黄疸のために拡張した胆嚢を触れる場合です。

 

【検査】

(1) 血液検査

胆道がんの初期では血液検査で異常は見られません。
しかし、がんにより胆管の狭窄が起こると、血清ビリルビンやアルカリフォスファターゼ(ALP)が高値となります。

また、腫瘍マーカーであるがん胎児性抗原(CEA)やCA19-9が、胆道がんの50~80%で高値になります。
ただし、これらの検査は胆道がんで必ず上昇するとは限らず、あくまで補助的な検査です。

(2) 超音波検査

胆管の拡張を調べるのに適しており、外科的処置が必要な閉塞性黄かどうかの判断にとても有用です。
また、腫瘍がある程度大きくなってくると、かたまりとしてとらえることができます。
外来で手軽にでき、苦痛も全くないため、超音波検査は最初に行われるべき検査です。

(3) 腹部CT

がんにより胆管がどの程度拡張しているかを調べることができます。また造影剤を用いることで、より鮮明に腫瘍を
映し出すことができ、がんの周囲への拡がりをある程度推測することができます。

(4) MRI(磁気共鳴画像)

CTと同様に胆管の拡張や病変の存在部位・拡がりを診断できますが、CTとは情報の内容が違うため、
それぞれの画像を見比べることでより高度の診断ができます。

(5) PTC(経皮経肝胆道造影)

胸部や腹部の皮膚に局所麻酔をしたのち、超音波装置を用いてがんのために拡張した肝臓内の胆管に直接針を刺し、
造影剤を注入する方法です。

胆管の狭窄・閉塞の様子が詳しくわかり、腫瘍の存在部位や拡がりの診断に有用です。
同時に黄疸の治療として、下流に流れなくなった胆汁を身体の外に導く細い管を胆管の中に入れ、固定します。

これをPTCD(経皮経肝胆道ドレナージ術)と呼びます。

また、排泄された胆汁中のがん細胞を調べることでがんの確定診断ができることがあります。

更には、この経路を太くして胆管の中に細いファイバースコープを挿入し、
胆管の粘膜を観察したり異常な粘膜を採取したりすることができ、腫瘍の拡がりを調べたり、
がんの確定診断ができます(PTCS(経皮経肝胆道鏡検査))。

(6) ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)

ファイバースコープを十二指腸まで挿入し、胆管と膵管の出口である十二指腸乳頭から細いチューブを入れ、
造影剤を注入して胆管や膵管の異常を調べる方法です。

PTCとは逆に、つまっている部分より下流の情報が主に得られます。
PTCと併用することで、狭窄・閉塞部位についてより詳しい情報が得られます。

(7) 血管造影検査

腫瘍による肝臓や膵臓周囲の血管への浸潤や走行異常を検査するために行われますが、
最近はCTの進歩により造影CTで、代用されることが多くなっています。

 

【分類】

胆道がん取り扱い規約は、胆管がんと胆嚢がんと乳頭部がんの3つに分けて病期分類されています。
その解剖学的特徴から病期分類の方法は複雑ですのでその一部のみを紹介します。
胆管がんの場合、その進行度から以下の4期に分類されます。

Ⅰ期:
がんが漿膜面という表面まで出ていなくて(S0)また、肝臓内への直接的な浸潤がない(Hinf0)、
膵臓への浸潤がない(Panc0)、門脈系への浸潤がない(PV0)、動脈系への浸潤がない(A0)、
さらにリンパ節転移がない(N0)など、がんが胆管の中だけにとどまっている段階です。

Ⅱ期:
漿膜面や肝臓・膵臓など胆管と隣接する組織へのがんの拡がりが疑われるか(S1またはHinf1またはPanc1)
胆管の近くのリンパ節のみに転移(N1)、あるいは胆管の近くのリンパ節のみに転移(N1)している状態です。

Ⅲ期:
がんが漿膜面という表面より明らかに出ていて(S2)、胆管の近くのリンパ節のみの転移(N1)までに
とどまっている状態か、あるいは漿膜面や肝臓・膵臓など胆管と隣接する組織へのがんの拡がりが疑われるが
(S1またはHinf1またはPanc1)、リンパ節の転移はさらに拡がっている(N2)状態です。

Ⅳa期:
リンパ節転移がさらに遠方にまで広がっている(N3)状態か、あるいはS2でN2の状態、
あるいはまた肝臓や膵臓への浸潤の明らか(Hinf2あるいはPanc2以上)または門脈や動脈への浸潤が疑われる
(PV1あるいはA1以上)がリンパ節転移は、胆管の近くのリンパ節のみの転移(N1)までにとどまっている状態を
いいます。

Ⅳb期:
肝臓へ血行性転移してるか、腹膜播種(腹腔内の腹膜にがん細胞が種をまかれるように広がっている状態)、
あるいはⅣa期よりもさらにがんが遠くまで浸潤している状態です。

 

【治療】

手術療法、放射線療法、化学療法、緩和医療

(1)手術療法

他の消化器がん同様、胆道がんを再発がないように治療するためには外科的にがん細胞を完全に切除しなければ
なりません。

しかし、胆道がんはリンパ節に転移しやすく、また隣接する肝臓、膵臓や十二指腸などの臓器や大切な血管である
門脈・肝動脈にがんが直接浸潤するとこれらを同時に切除しなればなりませんが、
がんが進行すると完全に取りきれなくなる可能性が高くなってきます。

胆道のどの部分にがんができるかによって手術方法が変わります。
進行がんの場合、十二指腸、膵頭部、肝臓の一部などを切除することになるため、胆管、膵管、消化管、場合により
血管の再建(新たに吻合してつなぎ合わせること)が必要となり、手術規模はたいへん大きなものになります。

手術合併症としては、

縫合不全:
がんを切除したあとには胆管空腸吻合、膵管空腸吻合、胃空腸吻合などの各種吻合術が必要となります。
その吻合部がうまくくっつかずに吻合部から胆汁や膵液などの消化液がお腹の中に漏れ出て腹膜炎を起こします。
腹部に挿入していた管(ドレーン)より廃液することで治ることもありますが、再手術が必要となったり、
死に至ることもあります。

膵液瘻:
膵管空腸吻合の縫合不全後のドレーンからの廃液が止まらずにトンネルのようになって瘻孔から廃液が続くことが
あります。

心肺機能不全:
手術が長時間に及び、出血量も多くなるため、術後に心臓や肺に負担がかかり、これらの働きが低下することが
あります。

老人性せん妄:
長時間の全身麻酔や手術、術後の心身へのストレスにより一時的に認知症のような症状が術後にみられることが
あります。しかしこの症状は、心身への負担がなくなるとともに改善してきます。

その他:急性腎不全、感染症。

(2)放射線療法

胆道がんの放射線に対する感受性(がんに対する効き具合)は、低いと報告されていますが、
単独でおこなわれたり、他の治療と併用されたりします。

外照射:
体の外から少量の放射線を繰り返し照射する方法です。副作用は全身倦怠感、食欲不振のほか、
晩期障害(ある程度時間が経ってからみられる障害)としては消化管出血などがあります。

術中照射:
手術中に隣接した浸潤病変に対して直視下に放射線を一度に照射する方法です。

管腔内照射:
手術不能例などに対して、前述のPTCD(経皮経肝胆道ドレナージ術)やERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)
などにより胆管内に挿入したチューブを通して、ラジウムなどの小線源の針を病変部まで送り込み持続的に照射する
方法です。

(3)化学療法

胆管がんに対する抗がん剤治療は、その成績は悪いと報告されていますが、
最近新しい抗がん剤が使われるようになり、その成績は向上してきています。
手術療法や放射線療法と組み合わせて行われます。

(4)緩和医療

手術不能な場合、黄疸が進行するとそれだけでも肝不全や腎不全のため死期を早める事になります。
PTCDや内視鏡を使用して胆管の狭窄部位へチューブを留置する方法(ERBD)で黄疸を軽減させ、
延命を図ります。

また、これらの方法を使って金属ステントをがん病変に挿入し、PTCDやERBDで挿入されていた管を抜くことが
できる場合があります。

がんが進行してくると痛みが強くなってくる場合が多く、各種消炎鎮痛剤やモルヒネなどの医療用麻薬を
使用して痛みを和らげます。一般に麻薬はこわい薬と考えられていますが、正しく使えばたいへん有用な薬です。
人格が変わったりするなどとよく思われがちですが、そのようなことはありません。

 

【病期別治療方法】

I期及びⅡ期:手術療法

Ⅲ期:
可能ならば手術療法が行なわれますが、がんの十分な切除は単独では難しく化学療法、放射線療法などを
併用します。手術の危険度などをそれぞれの症例に応じて判断し、治療を選択します。

Ⅳ期:
根治療法はまずありません。化学療法により延命を図ったり、症状に応じた治療を選択したりします。

 

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