外来化学(がん薬物)療法の情報

副作用について

抗がん剤による『一般的な副作用症状』とそれぞれの症状の『対処法』『日常生活におけるポイント』
『症状が出現しやすい時期』をご紹介します。

使用する抗がん剤によって出現しやすい症状は限られていますので、
決して全ての症状が出現するわけではありません。

また、副作用症状のほとんど全ては治療の終了とともに消失し改善しますのでご安心ください。
薬物治療を行う際に患者さんごとの治療内容説明書を別途配布いたしますので、
「がん薬物療法を受けられる患者さんへ」のページと照らし合わせながらご活用ください。

倉敷成人病センターは患者さんが安心して治療に専念でき、辛い時期を少しでも穏やかに過ごして頂けるよう
お手伝いいたします。
 
>がん薬物療法を受けられる患者さんへ(概要)

 

副作用の発現時期の目安

0

1

 

がん治療の最大の目的は患者さんの生命を保つことです。
当院で行う薬物療法は目的別に大きく以下の3種類に分類することができます。

〈1〉術前補助化学療法・・・明らかな転移がある場合やがん細胞を縮小させ手術範囲を小さくする目的で
手術の前に行う薬物療法です。

〈2〉術後補助化学療法・・・手術で取りきれなかったがん細胞や転移の可能性がある場合に将来的な再発を
予防する目的で手術の後に行う薬物療法です。

〈3〉再発・進行治療・・・再発や転移または手術が行えないがんに対して行う薬物療法です。
もちろんがん細胞の死滅が究極の目的であることは間違いありませんが、がん細胞の増殖を抑えて病気の進行を
遅らせること、がん細胞を縮小させて痛みなどの症状を取り去ることも目的として設定されます。

 

副作用とその対応について

がん薬物療法には、多くの副作用症状がありますが全ての症状が起きるわけではありません。
使用する抗がん剤により現れやすい症状は限られていますので、ご不明な点がございましたら医師・薬剤師に
ご確認ください。

『副作用とは何か?』をよく知り、注意すべき期間や対処が必要な時期に
患者さんと医療スタッフが相応の対応を行えば効果的な薬物療法を安全に行うことが可能です。
互いに協力して薬物療法を成功させましょう。

例えば
>アレルギー症状  >悪心(吐き気)・嘔吐  >食欲不振  >倦怠感・だるさ
>骨髄抑制(感染しやすくなる・貧血(疲れやすい、めまい)・出血)  >脱毛  >発熱  >口内炎
>下痢  >便秘  >末梢神経障害(手足のしびれ・感覚麻痺)  >筋肉痛・関節痛、頭痛
>色素沈着、爪の変形  >味覚の変化・においに敏感になる  >血管外漏出(点滴漏れ)

骨髄抑制

抗がん剤により骨髄中の造血細胞(血液を作る細胞)の働きが抑えられて、
白血球(おもに好中球)・赤血球・血小板などの血液中の大切な成分が減少します。
これにより感染症・貧血・出血傾向が起こることがあります。

〈1〉感染しやすくなる(白血球減少による)

白血球が減少すると免疫力が低下し、一時的に感染しやすい状態になります。
感染すると発熱、寒気、咳・痰、のどの痛み、腹痛、下痢、排尿時痛などの症状が現れます。
白血球減少時は感染症が治りにくく、悪化すると生命の危険を伴います。一般的に白血球は
抗がん剤投与の7~14日後に最も減少しますので、この時期は特に注意しましょう。

対応

著しい好中球の減少がみられる場合は好中球を増やす薬(G-CSF)を注射します。
必要があれば感染予防のために抗生物質が処方されることもあります。
白血球減少の程度に応じて、面会の制限や生もの(加熱されていない食事、病室内のお花など)
を制限させていただく場合があります。

◎ポイント

骨髄抑制のパターンは患者さんそれぞれで特徴的ですので、
初回でご自分のパターンを把握できれば2回目以降はより的確に対応することができます。

白血球減少時には以下の点に留意しましょう。

手洗い、うがいなどの感染対策を積極的に行いましょう。
人ごみを避け、外出するときはマスクを着用しましょう。
可能な限り入浴やシャワーを毎日行い、清潔を心がけましょう。
風邪をひいている人、ペットなどの動物との接触を避けましょう。
化膿しやすくなるのでケガをしないように気をつけましょう。
なるべく加熱した料理をとるようにしましょう。

〈2〉貧血(疲れやすい、めまい)

赤血球は血液中で酸素の運搬を担当しているため、減少すると貧血になり、めまい、さむけ、
だるさ、動悸、息切れ、頭が重いなどの症状がみられます。
赤血球は白血球(好中球)と比べると寿命が長いため、症状は抗がん剤投与の数ヵ月後に現れます。

対応

貧血が続くようであればビタミン剤・鉄剤などの薬剤を投与します。
重篤な貧血になれば輸血を行うこともあります。

◎ポイント

・症状を感じたら安静を心掛けて無理せずゆっくり動きましょう。
・タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含んだ食事を摂るよう心掛けましょう。

【!】注意

ひどい疲労感や息切れを感じたら受診してください。

〈3〉出血(血小板減少による)

血小板は血液を凝固させ止血する作用があるため、
これが減ると血が止まりにくくなったり出血しやすくなったりします。

対応

血小板の減少が激しく、出血の危険性が考えられる場合は、血小板の輸血が行われます。

◎ポイント

・安静を心掛け、激しい運動は避けましょう。
・刃物の取り扱いには十分気をつけましょう。
・鼻を強くかんだり、排便時に強くいきまないようにしましょう。
・柔らかい歯ブラシを使って、やさしく歯みがきをしましょう。
・締め付けによる内出血防止のため、ゆったりした服装で過ごしましょう。
・転倒などによる外傷・打撲に気をつけましょう。

【!】注意

市販されているカゼ薬や鎮痛剤などには、さらに出血しやすさを強めてしまう薬もあります。
服用する際は医師・薬剤師に確認しましょう。

 ↑例えばへもどる

アレルギー症状

患者さんと使用する抗がん剤との相性が合わないときにアレルギー反応が起こることがあります。
特に点滴中に起こる「熱感」「痛み」「急激なかゆみ」「発疹」「息苦しさ」などの症状は生命の危険が
ある重篤なアレルギー症状なので緊急な対処を必要とします。

対応

アレルギー反応を起こしやすい抗がん剤は予防的に抗アレルギー剤を投与します。
アレルギー症状が出現したら、抗がん剤の投与を中止し、直ちに適切な処置を行います。

【!】注意

症状を自覚したら直ちにスタッフに報告してください。

↑例えばへもどる

悪心(吐き気)・嘔吐

抗がん剤の副作用としては最も患者さんの生活の質を損なう症状です。症状は抗がん剤の投与直後から
数日間持続しますが、最近では強力な制吐剤(吐き気止め)が開発されており、
効率的に使用することで症状の大半を抑えることができます。

対応

当院では抗がん剤の点滴前に予防的に強力な制吐剤を投与します。
また、数日間制吐剤を内服することで遅延性の症状も予防できます。

◎ポイント

・症状がある時は我慢せずに処方されている制吐剤を服用してください。
・点滴前の食事は、消化のよいものを軽めに摂る程度にしましょう。
・悪心のある時は消化の良いものやあっさりしたものを無理せず少しずつ食べましょう。
・嘔吐がある時は脱水を防ぐため水分補給を心掛けましょう。症状が強く水分が摂れない時は
受診してください。

↑例えばへもどる

便秘

抗がん剤や制吐剤により腸管の運動が低下して便秘を起こすことがあります。
また、食欲不振のため食事量や水分摂取量が減少し、食事の内容の変化によって便の量が少なく硬くなる
ことも考えられます。便秘がひどくなると腸閉塞を起こす危険もあります。

対応

腸管の運動を活発化させる薬剤や、便が硬い場合は便をやわらかくする薬剤を投与して
排便コントロールを行っていきます。
ひどい便秘になれば浣腸などで対処します。

◎ポイント

・十分な水分と繊維質の多い食事を摂るように心掛けましょう。
・排便習慣をつけるために、毎日朝食後に排便を試みましょう。
・便秘体質の患者さんは特に気を付けましょう。

↑例えばへもどる

下痢

抗がん剤の投与初期には、腸管の運動が活発化することが原因の下痢が、10~14日後には腸管の粘膜が
傷害されることが原因の下痢が起こることがあります。

また、腸内細菌のバランスの乱れや不安などの精神的要因も下痢の原因として考えられます。
1日に何度も下痢が続いたり、差し込むような腹痛が伴う場合は早めに報告してください。

対応

整腸剤や下痢止めなどが処方されます。
激しい下痢で水分摂取ができないときは点滴で水分を補給します。

◎ポイント

・食物繊維の多い食品、揚げ物、香辛料の強いもの、コーヒー・アルコールは控え、
消化の良いものを食べるようにしましょう。
・下痢をすると体内の水分やミネラルが失われます。スポーツドリンクなどで十分な水分補給
を心掛けましょう。

【!】注意

1日4回以上の下痢や、差し込むような腹痛や血便を伴う場合は直ちに報告してください。

↑例えばへもどる

口内炎

抗がん剤による直接的な傷害で起こる場合と、白血球(好中球)数の減少による口腔内感染が原因で
起こる場合があります。舌や口の粘膜が傷害され潰瘍ができ、食べ物がしみたり口の中が腫れたりします。

悪化すると痛みで食事が摂れないなど身体的・精神的な苦痛となります。
症状があれば早めに相談してください。

対応

口内炎用のうがい薬・塗り薬・貼り薬などを使用します。
痛みがひどくて食事が摂れない場合は口腔内の感覚を麻痺させます。
感染を伴う場合は、抗生物質などが処方されることもあります。

◎ポイント
口腔内粘膜が回復するまで、悪化させないよう症状改善に努める必要があります。

・口腔内を清潔に保つため、やわらかい歯ブラシを用いて粘膜を傷付けないように毎食後に
歯磨きをしましょう。歯だけでなく、歯茎や舌もブラッシングすると良いでしょう。
・うがい薬を使用してうがいをしましょう。
・硬い食べ物や極端に熱い食べ物は、口腔内を傷付けるので避けましょう。
・こまめに水分を摂り、口腔内の乾燥を予防しましょう。

↑例えばへもどる

食欲不振

悪心・嘔吐、味覚異常、口内炎、倦怠感などが原因で食欲が落ちることがあります。

◎ポイント

朝・昼・晩の食事にこだわらず、食べたいもの・食べられそうなものを、
食欲のあるときに少しずつ食べてください。
あっさりしたもの(ゼリー、うどんなど)がよいでしょう。
また、食後1時間はなるべく横にならないようにしましょう。

↑例えばへもどる

発熱

抗がん剤治療後には発熱が起こることがあります。数日間微熱が続き倦怠感の原因になることもあります。

対応

しんどいようならば解熱剤を使用して対処します。
白血球減少時で感染が疑われる場合には抗生物質を使用します。

◎ポイント

・微熱であっても無理をしないようにしましょう。
・37.5℃以上の発熱があれば感染が疑われるので、受診するか指示された抗生物質を服用
しましょう。

↑例えばへもどる

倦怠感・だるさ

「だるい」「疲れやすい」「気力がない」「体が重い」「集中できない」などの症状があります。
がん自体の症状、不眠・食事量の低下による体調の乱れ、発熱、不安感、貧血など原因はさまざまです。

対応

原因を明らかにし治療を行います。

◎ポイント

・無理をせず十分な休息・睡眠をとりましょう。
・音楽・読書など自分の趣味で心をリラックスさせ、気分を紛らわしましょう。
・散歩などの軽い運動で気分転換を図るのも効果的です。

↑例えばへもどる

脱毛

抗がん剤により一時的な脱毛が起きることがあります。治療開始2~3週間後から始まることが多く、
治療中はその症状が進行します。
治療終了後3~6ヶ月後には再び発毛が見られその後は徐々に回復してきます。頭髪だけでなく、
体毛・陰毛・まつげなども脱毛することがあります。
抗がん剤の種類により脱毛の頻度は大きく異なります。脱毛の程度が気になる患者さんはスタッフに
お尋ねください。

対応

現在のところ脱毛を防ぐ有効な方法はありません。
事前にかつら(ウイッグ)、帽子、バンダナなどを用意しておくと良いでしょう。

◎ポイント
頭皮への刺激を少なくする工夫が有効です。

・頭皮を清潔に保つため、きちんと洗髪しましょう。
・低刺激シャンプーを使い、手でよく泡立ててから指の腹を使ってやさしく洗いましょう。
・毛先が柔らかく目の粗いブラシを使い、ドライヤーは低温で使用しましょう。
・パーマや脱色・毛染めは行わないようにしましょう。
・治療前に髪を短くカットしておくと、摩擦による抜け毛が少なくなる上に薄くなるのが目立ち
にくくなります。
・肩などについた抜け毛を目立たなくするために、黒色など濃い目の服装がおすすめです。
・辛い副作用ですが帽子などを有効に用い、普段できないお洒落を楽しんでみてはいかがで
しょうか?

↑例えばへもどる

末梢神経障害(手足のしびれ・感覚麻痺)

末梢神経障害により「手足のしびれ」「ピリピリ感」「呂律(ろれつ)がまわらない」「喉の違和感」などの
症状が起こることがあります。通常は抗がん剤の使用量が増えていくごとに症状が現れやすくなります。
症状によっては改善しにくい場合もあるので悪化させない工夫が必要です。

対応

特効薬はありませんが、ビタミン剤、漢方薬などで症状の悪化を抑えます。
抗がん剤の休薬や減量により徐々に回復してきます。
リハビリにより感覚麻痺を改善させる工夫をします。

◎ポイント

・違和感があれば報告してください。
・抗がん剤によっては冷たいものを触ることで刺激が増す薬剤もあります。
・症状が軽いうちに少しずつマッサージをしましょう。
・感覚麻痺が悪化すればケガなどに気付きにくくなり、傷の悪化・化膿の原因になります。
自分の体に異変がないかの観察を日課にしましょう。

↑例えばへもどる

筋肉痛・関節痛、頭痛

抗がん剤の作用や精神的な緊張によりさまざまな痛みが起こることがあります。
これらの症状のほとんどは薬剤により抑えることが可能です。

対応

鎮痛剤や筋肉の緊張をほぐす薬剤を投与します。

◎ポイント

・症状を感じたら我慢せずにお知らせください。
・痛み止めの種類によっては眠気を催す薬剤がありますので、ふらつき・転倒などによるケガ
にご注意ください。

↑例えばへもどる

色素沈着、爪の変形

抗がん剤がメラニン色素を刺激することで「皮膚が乾燥する」「皮膚や爪が黒ずむ」「爪が割れる・
変形する」などの症状が出ることがあります。治療が終われば徐々に改善します。

対応

皮膚の乾燥はクリームやローションを使うと軽減されます。

◎ポイント

・紫外線によりメラニンがさらに刺激されるので長時間強い日差しに当たらないように
しましょう。
・皮膚の黒ずみにはビタミンCの摂取が効果的です。
・皮膚や爪を守るため、爪は短く切っておきましょう。
・爪の変形が現れた場合は自分で処理せずに専門医の診察を受けましょう。

↑例えばへもどる

味覚の変化・においに敏感になる

抗がん剤により味蕾(舌にある、味を感じる細胞)や神経が障害を受けたり、
亜鉛が減少したりすることで「味を感じにくい」「塩味が苦くなる」「甘みを強く感じる、」
「金属味を感じる」などの味覚異常が起こることがあります。

また、においにも敏感になることがあります。これらが食欲不振の原因となります。

対応

味覚異常がひどければ亜鉛製剤を投与します。

◎ポイント

・味覚の不快感を和らげるために、食事前にレモン水などで唾液の分泌を促しましょう。
・亜鉛を多く含む食品を摂るように心掛けましょう。
・食事のにおいが気になる場合は、冷ましてから食べるようにしたり、ふたを開けてにおいを
飛ばしたりするなど工夫しましょう。
・味に違和感があれば報告してください。スタッフがアドバイスいたします。

↑例えばへもどる

血管外漏出(点滴漏れ)

薬物療法中には、0.5~6.5%の割合で点滴漏れが起こっているといわれています。
血管外に漏れた抗がん剤は皮下組織を傷害し激しい痛みや炎症・潰瘍を引き起こす可能性があります。

薬物療法や他の疾患で血管がもろくなった患者さん、
もともと血管が細い患者さんに比較的よく起こります。迅速に対応することで症状を最小限に抑えること
が可能です。

対応

直ちに医師が処置を施しますが、数日間は処置が必要となります。

◎ポイント

・点滴中に不快感、違和感、圧迫感、腫れ、痛みなどを感じたら直ちにお知らせください。
・投与中には点滴チューブを引っ張るような動きをしないようにしましょう。
・点滴が終わった後(外来化学療法の方は帰宅後)に問題が発生することもありますので、
点滴部位はよく観察するようにしてください。(第1発見者は、患者さんです!)

↑例えばへもどる

 

ひとこと

このように多くの副作用症状がありますが全ての症状が起きるわけではありません。
使用する抗がん剤により現れやすい症状は限られていますので、ご不明な点がございましたら
医師・薬剤師にご確認ください。

『副作用とは何か?』をよく知り、注意すべき期間や対処が必要な時期に患者さんと医療スタッフが相応の対応を
行えば効果的な薬物療法を安全に行うことが可能です。互いに協力して薬物療法を成功させましょう。
 
>がん薬物療法を受けられる患者さんへ(概要)