腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術は痛みが少なく回復も早い

手術箇所腹腔鏡下手術は、お腹を大きく切らずに、おへそ近くに数箇所の小さな穴を開けて行います。 なぜ腹腔鏡下手術が有用であるかというと、手術後に起こりうる「癒着」(手術した器官や組織が、手術後お互いにくっついてしまうこと)を防ぐことが妊孕能を温存において重要であるからです。癒着は不妊の原因の1つになることがあり、十分な対策を講じる必要があります。感染症や骨盤内手術を行った女性が手術後不妊を訴えるケースがあります。その原因の多くは骨盤内の癒着によるもので、卵管が腹膜にくっついたり、卵管がふさがって卵が通過できなくなることによります。

また腹腔鏡下手術は、開腹手術と比較して痛みが少なく、極めて回復が早いという利点があります。傷口も3ヶ月程度で目立たなくなります。 長期的な再発率についても現在までのデータでは、開腹手術と腹腔鏡下手術には有意な差がありません。

実際の手術は、腹腔鏡という直径0.5~1cmほどの長い棒状のカメラを、腹部に開けた0.5~1cmほどの穴1~4箇所から挿入し、炭酸ガスで膨らませたお腹の中の様子をテレビモニターで確認しながら、鉗子(かんし)といわれる特殊な細い器具を使って行ってきます。

子宮がんへの腹腔鏡下手術の取り組みは、消化器外科や泌尿器科などが先行して保険適応化されていく中で大きく遅れを取ったため、近年まで開腹して子宮を摘出する手術が広く行われてきました。子宮体がんにおいては、2014年4月には念願の保険適応となり、2018年4月からはロボット支援下の腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術も保険適用となりました。又、早期子宮頸がんに対する「腹腔鏡下広汎子宮全摘術」が新たに保険収載され、これまでより多くの患者さんに身体に優しい腹腔鏡下手術を受けていただけるようになりました。

昨今注目されつつある腹腔鏡下手術ですが、手術器具の操作に非常に高度な技術を要するため、しっかりとしたトレーニングを積むと共に、数多くの症例数を扱っている、経験のある医師を探すことが重要です。

【監修】安藤 正明 先生 (倉敷成人病センター理事長、日本産科婦人科内視鏡学会 常務理事)

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