患者さんは、わかりやすい言葉や方法で、十分理解し納得できるまで医療に関する説明や情報の提供を受ける権利及び、提供された情報と医療従事者の説明をよく聞き理解した上で、自分の意志で検査や治療などの医療を受けるか受けないかを決める権利があります。
当院は、患者さんと医療従事者が情報と責任を共有して意思決定を行い、共同して医療に取り組めるように円滑なコミュニケーションとインフォームド・コンセントに十分配慮しております。
A)コミュニケーション
患者さんが納得して診療を受けることができるように、患者さんと医療従事者とのコミュニケーション〜訴えを謙虚な気持ちで聞き、約束を必ず守るように心がけること〜が大切と考えます。言葉遣いは丁寧でわかり易く、誠意をもって対応し、患者さんやご家族への説明にあたっては、その内容が十分理解し納得してもらえるよう配慮し、信頼関係を築いていくことに努めています。
B)インフォームド・コンセント(説明と同意)
「患者さんは、自らの健康と医療に関する説明を受け十分に理解・納得した上で、提示された医療行為を選択・決定する権利を有する」ことを、医療従事者全員が認識し「患者さんの権利」として保障いたします。
医療行為は、多少に関わらずリスクを伴います。医療従事者は、患者さんに対してはこれから行おうとする医療行為の説明や治療の効果だけでなく、医療行為によって起こる不利益についても十分な説明(「説明要件」)及び、医療行為について患者さんから同意を得ること(「同意要件」)をいたします。
| 医療法第1条の4第2項(説明の義務):医療の担い手は、医療を提供するにあたり適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努力しなければならない。 |
T)インフォームド・コンセントの成立
インフォームド・コンセントが成立するためには(1)患者さんの同意能力、(2)説明要件を満たすこと(3)同意要件を満たすことが必要です。
1)患者さんの同意能力
説明された内容を理解し、その説明に対する自分の同意がどのような意味を持っているのかを判断する能力が求められます。
理解力、判断力などの同意能力の有無について判断が難しい人々(未成年者、精神障害者、知的障害者、高齢者など)を対象とする場合は、特別の配慮が必要となります。
【例】
| 未成年者未成年であっても判断能力があると診断される限り患者さんの意思は尊重されます。何歳から判断能力を有するかの統一見解はなく、また個別の医療行為ごとに判断されなければなりません。民法では、15歳以上で遺言が出来る、米国小児科ガイドラインでは15歳以上からインフォームド・コンセントを得るべきとされています。その他の場合には、親権者から同意を得る必要があります。 |
| 意思の疎通が出来ない患者意識障害あるいは認知症等のため判断能力や意思表示能力の欠如している患者さんでは、ご家族等の代理人から同意を得る必要があります。 |
| 精神病患者患者さんの病状によっては同意が困難であり、また病名の告知や治療方針を知らせることが患者さん自身の病状を悪化させるなど不利益となる事があります。自身を傷つけたり他人に害を及ぼしたりする恐れのあるなどの公益性の観点から強制措置を必要とする時は、同意の必要はありません。ご家族等に病名を知らせる事があります。 |
2)説明要件
患者さんが重要と考えるであろう診療にかかわる内容について、医療従事者が適切な説明を行うことが求められます。
| 《説明すべき内容》 |
| (i) |
現在の病態・病名 |
| (ii) |
最善と考え推奨する診療の目的・内容・必要性・有効性・予後予測と医師の経験 |
| (iii) |
診療に付随するリスクとその発生の可能性
[説明しなくてはならないリスク]
患者さんの現在の健康状態が良い場合であっても説明が必須
・ リスクの起こる可能性が高い場合
・ リスクの起こる可能性は稀であるが、リスクの程度が大きい場合
・ リスクの起こる可能性が稀でリスクの程度が小さい場合
・ 患者さんが医療に対して過度の期待をもつ場合 |
| (iv) |
実施予定の診療の代わりとして考えられる他の診療とそれに付随する危険性 |
| (v) |
検査や治療をしない場合、及びナチュラルコース(急変時、延命治療を行わないこと)の利害得失 |
| (vi) |
別の医師の説明(セカンドオピニオン)を得る機会があること |
| (vii) |
診療にかかわる費用、利用可能な各種の保険、福祉サービス |
3)同意要件
患者さんが、医療従事者から診療内容などについて十分説明を受け理解した上で、患者さん自身による同意を得ることが求められます。
| 《同意に必要とされる内容》 |
| (i) |
患者さんの自由意志による同意であること |
| (ii) |
適切な説明を受け、十分に考慮する時間を得た上での同意であること |
| (iii) |
患者さんが別の医師の説明(セカンドオピニオン)を求めた時に、その求めに応じた上での同意であること |
| (iv) |
患者さんの同意の撤回を認める同意であること |
| (v) |
患者さんが不合理な理由で診療を拒んだり、医学的に標準と考えられる治療法から外れた治療法を希望したりした場合には、それが十分な情報を提供され理解した上での選択であれば患者さんの主体的な価値観が優先されることを保証していること |
| (vi) |
診療方針が主要学会のガイドラインから外れる場合には、理由およびその結果予想される利害得失について説明を行った上で得た同意であること。場合により、院内倫理委員会で承認を得ている同意であること |
U)インフォームド・コンセントの要件を満たす事が免除される場合
1)患者さん自身の拒否
患者さんが「すべて先生にお任せします。」と言った場合など自発的にインフォームドコンセントを得ることを拒否した場合
2)救急患者・緊急事態
生命の危機に瀕しており時間的余裕がない場合
なお、緊急事態に備えて意思表示をしている患者さんもいます。このような例としては、臓器提供意思表示カード、DNR
(Do Not Resuscitate:心肺停止時の蘇生を拒否する意思表示)、輸血拒否の意思表示カード、エホバの証人などがあります。
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