妊娠する力

子宮頸がんの治療は手術療法が中心

子宮頸がんの治療方法は進行によって、治療法が異なります。子宮頸がんの治療は、基本的に手術療法が中心になります。早期の子宮頸がんの治療では「円錐切除術」が多く行われます。腹部は傷つけずに膣から切除し、短時間で終了するため、日帰りできることも多い手術です。子宮を温存できるため、手術後に妊娠・出産することも可能です。 さらに進行したがんでは、開腹手術や腹腔鏡下手術などの外科的手術を検討します。 がんの広がり方によって、摘出する範囲が異なる術式が選択されます。術式は、子宮を切除する単純子宮全摘出術、子宮とともに腟の一部子宮周囲組織をすこし切除する準広汎子宮全摘出術、さらにリンパ節を取り除く広汎子宮全摘出術があります。

妊孕能(妊娠する力)を残すためには、がん治療を始める前に、どのような対策を採るかを決定することが望ましいとされています。様々な選択肢を知らずに化学療法や放射線治療を行ってしまうと、妊孕能に支障をもたらすだけでなく、場合によっては完全に失ってしまう可能性もあります。

腹腔鏡下手術は容易に体腔深部を観察でき、また映像を拡大して手術できるためリンパ節の切除も開腹手術を上回る精度で行えます。その結果、痛みの大幅な軽減、歩行・食事開始までの期間の短縮、出血量の軽減が可能になります。 ただし、医師に非常に高度な技術と多くの経験が必要とされます。

一方、開腹手術の場合、術後の痛み、回復の遅れ、癒着による腸閉塞のリスクを伴うなど体への負担も大きくなります。 子宮がんの患者さんが開腹手術を行う場合、子宮周囲のリンパ節は腎臓の動脈付近に達するほど広がっているため、手術の際に、がんを取り除くだけでなく、がんの周辺にあるリンパ節を切除する必要があります。そのため、下腹部からみぞおちまでの大きな切開をせざるを得ません。

一般的に手術は開腹しておこなわれますが、妊孕能(妊娠する能力)温存を希望される場合は、腹腔鏡下手術などを選択されることが広がりつつあります。しかし、まだ保険適用の対象外の手術である「子宮頸がん」に対して行う「広汎性子宮頸部切除術」の実施は、限定された施設のみとなっております。また、低侵襲手術として更に、ロボット支援下腹腔鏡手術も低侵襲と根治性を実現するために注目され、当院でも実施しております。 2018年4月から、「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術(子宮頸がん)」が先進医療として登録されています。

【監修】安藤 正明 先生 (倉敷成人病センター理事長、日本産科婦人科内視鏡学会 常務理事)

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