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もうまくじょうみゃくぶんしへいそくしょう網膜静脈分枝閉塞症

治療前:視力(0.8)

正常眼

網膜内で静脈の一部が詰まり、血液のうっ滞を来すことで網膜静脈分枝閉塞症は起こります。多くは動脈硬化が原因となり動静脈の交叉部に生じます。行き場を失った血管内の血液が、血管外に漏れ、網膜に出血を起こしたり、網膜にむくみを起こしたりします。また、網膜の血流も悪くなります。これらが網膜の中心部(黄斑部)に及ぶと視力低下やゆがみを自覚し、視界が暗くみえるなどの症状を来します。病変部には斑状や刷毛で掃いたような出血、血管の蛇行などが見られます。検査では光干渉断層計(OCT)で網膜の断面図の写真を撮り、むくみ(黄斑浮腫)の程度を評価したり、蛍光眼底造影検査やOCTアンギオグラフィー(造影剤不要の血管撮影)によって網膜の血流を評価します。

網膜静脈分岐閉塞症

治療後:視力(1.2)

視機能に影響する黄斑部のむくみは、遷延することで不可逆的な視力低下を来してしまいます。そのため、むくみを軽減・消退するために、血管の拡張や漏出を抑える抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬の硝子体注射による治療が中心となります。通常、硝子体注射は複数回必要となることが多いです。また、周辺部網膜の血流不良が広範にあると、病的な血管(網膜新生血管)が眼内に向けて形成されることがあります。この場合、眼内に出血(硝子体出血)を起こすことで急激な視力低下を来すことがあります。こういった二次的な増悪変化を抑制するために、レーザー治療(網膜光凝固)を行なったりもします。眼内の出血程度によっては硝子体手術が必要となることもあります。