TEL

もうまくちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう網膜中心静脈閉塞症

治療前:視力(0.4)

正常眼

網膜の静脈は視神経に向けて集まり一番大きな静脈(網膜中心静脈)となって視神経内に入っていきます。これが詰まることで網膜全体に静脈内血液のうっ滞が起こります。行き場を失った血管内の血液は、血管外に漏れることで出血を生じたり、網膜のむくみを起こしたりします。また、網膜の血流も悪くなります。これにより視力に関わる黄斑部を含む網膜全体にダメージが及ぶことで、視力低下やゆがみ、視界が暗くみえるなどの症状を来します。検査では光干渉断層計(OCT)による網膜の断面図でむくみ(黄斑浮腫)を評価します。また、蛍光眼底造影検査やOCTアンギオグラフィー(造影剤不要の血管撮影)により網膜全体の血流を評価します。

網膜中心静脈閉塞症

治療後:視力(0.4)

黄斑浮腫に対しては、網膜静脈分枝閉塞症と同じように抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬硝子体注射を主体に治療していきます。しかし、網膜静脈分枝閉塞症とは異なり、より重篤な網膜中心静脈閉塞症では治療抵抗例も多いため、ステロイドのテノン嚢下注射など他の治療も併用することが多々あります。また、周辺部網膜の血流不良が広範にあった場合、網膜静脈分枝閉塞症よりもはるかに高率に病的な血管(網膜新生血管)を形成しやすい傾向があります。そのため、こういった二次的な増悪変化を抑制するために、網膜全体のレーザー治療(汎網膜光凝固)が必要になることがあります。治療をしたとしても網膜のダメージにより視力が改善しないこともあります。また、治療が遅れた場合には、眼内に生じた網膜新生血管により硝子体出血を起こすことで急激な視力低下を来すことがあります。出血の程度によっては硝子体手術が必要になります。新生血管が隅角(眼内の水が排出される部位)に生じた場合は難治性の緑内障(血管新生緑内障)を発症することもあるので注意が必要です。治療を行なっている経過中にも、血流が著しく悪くなる病態(虚血型)に移行してしまうことがあります。この場合、視機能は著しく低下して視力予後は悪くなります。