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Pickup難治性緑内障にも対応、新しい緑内障治療用デバイスアーメド緑内障バルブ

緑内障の進行を遅らせるために最も重要なことは、十分に眼圧を下げることです。緑内障の初期の段階では点眼薬による治療を開始しますが、複数剤点眼下でも眼圧が十分に下がらない場合は、手術で眼圧を下降させる必要があります。また、初診時すでに緑内障の末期に至っており、失明の恐れが高い患者さんは比較的早い段階で線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)が必要になる場合があります。
ここで、以前からある術式のトラベクレクトミーについて簡単に解説します。トラベクレクトミーは眼圧を外に逃がすためのバイパス路を作る手術で、成功すれば眼圧下降効果が非常に高く、末期の緑内障に最も適した術式です。その反面、手術効果の予測が難しい術式でもあります。その理由は、術後の創傷治癒に個人差があるため(傷の治りが良すぎて)、バイパス路が閉塞してしまう方がどうしても存在するからです。過去に別の手術を受けるなどして手術部位が瘢痕化していたり、抗凝固剤を内服していて出血しやすい患者さんは特にバイパスが閉塞しやすいと考えられています。

近年、新しい緑内障術式として緑内障チューブシャント手術が認可され、徐々に施行数が増えてきています。アーメド緑内障バルブは図のようにプレート部分とそこから伸びる長いチューブから成っています。眼圧が上昇してくると房水がチューブを流れ、眼球後方のプレートから排出されて眼圧が下降します。チューブの内径は一定ですので、創傷治癒過程でチューブが閉塞してしまうことは理論上ありません。そのため術後の眼圧はとても安定しています(術後の眼圧はトラベクレクトミー成功例より若干高めです)。緑内障チューブシャント手術は国内での歴史が比較的まだ浅いので、現時点の適応は難治性緑内障に限定していますが、今後適応症例が増加することが見込まれています。先行する米国ではすでにチューブシャント手術の施行数がトラベクレクトミーを上回っています。当院では2020年7月にこの手術を開始し、2022年12月末時点までに160名を超える患者さんに施行して効果を得ています。

当院では、トラベクレクトミーおよびチューブシャント手術の両術式の特性と、患者さんの眼の状態を照らし合わせた上で、最終的に個々の患者さんの術式を決定しています。手術についてさらに詳しい説明がお聞きになりたい場合は、担当医師にお尋ねください。