ロボット支援下手術に
ついて
患者さんの体の負担が
少ない手術を実現します
ロボット支援下手術は、ロボットが自動的に手術を行うわけではありません。あくまでも、手術を行うのは医師で、医師がロボットを的確に操作することで精密な手術が実現します。そのため「ロボット支援下手術」という名前がつけられています。ロボット支援下手術は、従来の腹腔鏡下手術と比べると、より正確で細かい手術が可能であるという特長があります。
当院は2021年2月にロボット先端手術センターを開設し、現在はダビンチSP1台とダビンチXi2台体制のもと、さらに患者さんの体への負担が少ない低侵襲手術の強化を図っています。
最先端の治療手段
ロボット支援下手術
鮮明な3D映像による立体的な拡大視野で術野を見ることができたり、手振れ防止機能といった従来の腹腔鏡下手術にはない特殊な機能を備えています。最先端医療技術が、患者さんにとって安全で精緻な手術を可能にします。
ロボット支援下手術
・人の手で行うよりも精密で安全性の高い手術が行いやすくなる
・傷が小さい(0.5-0.8cm程度)
・手術後の回復が早い(退院まで1週間程度)
腹腔鏡下手術
・技術を習得するために時間がかかる
・傷が小さい(0.5-1.2cm程度)
・手術後の回復が早い(退院まで1週間程度)
開腹手術
開腹手術
・患部を直接目で見ながら、広い視野のもとで手術を行うことができる・傷が大きい(10-15cm程度)
・退院までに時間がかかる(2週間程度)
※実際の創部と異なることがございます
低侵襲手術「ロボット支援下手術」の特長
- 三次元立体映像の内視鏡カメラ
- ロボット支援下手術の内視鏡カメラは、フルハイビジョンの高画質で三次元立体画像を映し出します。おなかや胸の中を立体的に見ることができるため、臓器や血管の入り組んだ様子がよくわかり、手術を行いやすくなります。
- アームの高度な関節機能
- ロボットアームには高度な関節機能があり、医師の手元の動きがそのままアームの先端に伝わります。アームの先端を曲げたり伸ばしたり回転させたりと、自由に動かすことができるため、狭いおなかや胸の中で細かい作業を行いやすくなります。
- 手ぶれ防止機能
- デジタルカメラと同じような手ぶれ防止機能も備えています。手術では非常に細かい作業を行うため、器具を持つ医師の手が震えてしまうことがあります。
ロボット支援下手術の場合は、手ぶれ防止機能が働きロボットアームにつけた器具は震えません。
- 手の動きを縮小する機能
- 医師の手元の動きを縮小してアームに伝える機能もあります。例えば、縮小比率を 5 対 1 に設定した場合、医師が 1cm 動かすと、アームの先端が動くのは 2mm になりま す。そのため、繊細な作業も可能となります。
- 特殊光観察機能
-
ICG(FireFly 機能)の活用により、医師の切り替え操作でリアルタイムに近赤外線ならびに可視光による組織の評価が可能です。
ICG( FireFly 機能)を用いて各領域の悪性手術の際に最初に転移が生じると考えられるリンパ節(センチネルリンパ節)の生検を行ったり、婦人科領域では、自律神経温存において ICG(FireFly 機能)を用いて手術を実施しています。この「FireFly 機能を用いた新たな自律神経温存深部子宮内膜症(DE)切除術」は、各種学術学会でも優秀な演題として表彰されました。なお、世界で初めての報告となります。
- 非臨床でのトレーニング環境
- トレーニング用シミュレーターを設置し、非臨床下でトレーニングをすることができます。
シミュレーターは、高解像度3D ビジョンで、 術野、ペダル、マスターコントローラーが da Vinci サージカルシステムをリアルに再現されています。また、婦人科、泌尿器科の症例に応じたトレーニングも行うことが可能となっています。
当院の特長
安心して手術を受けていただける体制が整っています
-
豊富な手術実績
婦人科、泌尿器科での、ロボット支援下手術と腹腔鏡下手術で多くの実績があります。
婦人科・泌尿器科では、9割の手術を低侵襲手術で行っています
ロボット支援下手術件数
2013
年度2014
年度2015
年度2016
年度2017
年度2018
年度2019
年度2020
年度2021
年度2022
年度2023
年度泌尿器科 前立腺がん 5 58 69 43 48 49 73 60 81 63 69 腎がん - 7 4 17 10 5 9 9 9 8 11 婦人科 婦人科悪性疾患 10 71 61 67 61 57 83 64 55 76 66 婦人科良性疾患 - - - - - 170 149 241 344 409 494 外科 直腸がん - - - - - - - - - - 6 骨盤臓器脱 - - - - - - - 57 105 134 153 合計 15 136 134 127 119 281 314 431 594 690 799 -
日本ロボット外科学会認定専門医
プロクター(手術指導医)が多数在籍それぞれの領域の専門医や指導医が多数在籍しており、高い技術レベルを維持しています。
- 日本ロボット外科学会認定専門医
-
- 婦人科
- 国際A級ライセンス:安藤正明 ※日本で取得しているのは、安藤正明医師のみ
国際B級ライセンス:柳井しおり、菅野潔
国内B級ライセンス:澤田麻里、越智良文、桝田沙也加、黒瀬喜子
※国際B級ライセンス以上の資格保有者は日本全体で5名いる中で、3名が当院医師です。 - 呼吸器外科
- 国内B級ライセンス:奥村典仁
日本ロボット外科学会認定専門医とは日本ロボット外科学会が認定している専門医資格で、各領域で症例数に応じて算出されたポイントの条件を満たした医師が取得できる専門資格。
- 日本内視鏡外科学会が推奨するプロクター(手術指導医)
-
- 婦人科
- 安藤正明(悪性・良性)、柳井しおり(良性)、干場勉(悪性・良性)
- 泌尿器科
- 山本康雄(膀胱・前立腺)、黒田まゆら(仙骨膣固定術)
- 呼吸器外科
- 奥村典仁
2024年6月現在
-
ダビンチによる婦人科疾患手術症例見学施設に認定
中四国・九州地域で唯一のダビンチによる婦人科疾患手術症例見学施設です。
当院は、ダビンチを用いた婦人科疾患の手術技術および実績が評価され、製造元であるインテュイティブサージカル社より、内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ Xi システム」を用いた婦人科疾患の手術症例見学施設の認定を受けております。
ロボット支援下手術を行うためには関連学会等が推奨する一連のトレーニングを受けることが義務化されており、そのトレーニングの一つに、インテュイティブサージカル社から認定を受けた施設での臨床症例の手術見学が定められています。当院では、医師、看護師、臨床工学技士のスタッフがチーム一丸となって安全かつ確実な手術に取り組んでおり、ダビンチの手術見学を通して多くの婦人科医の技術の向上および患者さんへの負担が少ない手術の発展と普及に貢献していきたいと考えております。
適応症例
- 婦人科疾患
- 骨盤臓器脱
- 泌尿器科疾患
- 消化器外科疾患
- 呼吸器外科疾患
保険適用内子宮良性疾患の手術
- 適 応
- 子宮良性腫瘍(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症など)
- 入院期間
- 約7日程度
全文を見る
※ほとんどの場合は、患者さんのご希望に沿ったロボット支援下手術を受けることができますが、健康保険の適用とならない場合もありますので、外来担当医にお気軽にご相談ください。
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
子宮良性疾患の場合、入院から、手術、退院まで約1週間となります。手術2日前に入院していただき、術後4日目に退院となります。手術の翌日からお部屋の中を歩くことができます。
閉じる
保険適用内子宮体がんの手術
- 適 応
- 早期子宮体がん(IA期)に対する子宮悪性腫瘍手術(子宮全摘術、骨盤内リンパ節郭清術)
- 入院期間
- 約10日程度
全文を見る
※今後、保険適用が更に拡大されていくと考えられますが、ご自身の病気が健康保険の対象となるかどうかについては、外来担当医にお気軽にご相談ください。
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
がんの治療において、最も重要となるのは、患者さんの長期的な生存予後ですが、これまでの治療データを解析したところ、早期子宮体がん(IA期~II期まで)における5年生存率は、100%と非常に良好な治療成績でした。
入院から退院まで、退院後の生活について
悪性疾患の場合は、良性より多少長くはなりますが、それでも入院期間は8~10日程度です。手術2日前に入院していただき、術後5~7日程度で退院となります。
退院後は、多くの患者さんが1~2週間程度で仕事に復帰されます。手術後は、1ヵ月後、3ヵ月後に外来診察を行い、術後の経過を確認させていただきます。
がんのステージによっては、手術後に薬物療法や放射線治療が必要となる場合があります。
閉じる
保険適用外子宮頸がん、卵巣がんの手術
- 適 応
- 子宮頸がん、卵巣がんに対する子宮悪性腫瘍手術
- 入院期間
- 約10日程度
全文を見る
※治療費は自費です。適応や費用については、外来担当医にお気軽にご相談ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
悪性疾患の場合は、良性より多少長くはなりますが、それでも入院期間は8~10日程度です。手術2日前に入院していただき、術後5~7日程度で退院となります。
退院後は、多くの患者さんが1~2週間程度で仕事に復帰されます。手術後は、1ヵ月後、3ヵ月後に外来診察を行い、術後の経過を確認させていただきます。
がんのステージによっては、手術後に薬物療法や放射線治療が必要となる場合があります。
閉じる
保険適用内骨盤臓器脱の手術
- 適 応
- 骨盤臓器脱(子宮脱、膣脱など)
- 入院期間
- 約7日程度
全文を見る
※ほとんどの場合は、患者さんのご希望に沿ったロボット支援下手術を受けることができますが、健康保険の適用とならない場合もありますので、外来担当医にお気軽にご相談ください。
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
骨盤臓器脱の場合、入院から、手術、退院まで約1週間となります。手術1~2日前に入院していただき、術後4日目に退院となります。手術の翌日からお部屋の中を歩くことができます。
閉じる
保険適用内前立腺がんの手術
- 適 応
- 前立腺がん
- 入院期間
- 約10日程度
全文を見る
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
前立腺がんの場合は、入院期間は10日程度です。手術前日に入院していただき、術後7日程度で退院となります。仕事の内容にもよりますが、退院後1~2週間は自宅で経過をみて、問題なければ仕事に復帰できます。術後、病理組織の結果・PSAの値を参考にしながら必要であれば、薬物療法や放射線治療が必要となる場合があります。
閉じる
保険適用内腎臓がんの手術
- 適 応
- 腎臓がん
- 入院期間
- 約10日程度
全文を見る
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
腎臓がんの場合は、入院期間は10日程度です。手術前日に入院していただき、術後7日程度で退院となります。仕事の内容にもよりますが、退院後1~2週間は自宅で経過をみて、問題なければ仕事に復帰できます。
閉じる
保険適用内直腸がんの手術
- 適 応
- 直腸がん
- 入院期間
- 約17日程度
全文を見る
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
直腸がんの場合は、入院期間は17日程度です。手術2日前に入院していただき、術後13~15日程度で退院となります。
仕事の内容にもよりますが、退院後1~2週間は自宅で経過をみて、問題なければ仕事に復帰できます。
手術の翌日もしくは翌々日からお部屋の中を歩くことができます。
退院後は、多くの患者さんが1~2週間程度で仕事に復帰されます。手術後は、1ヵ月後、3ヵ月後に外来診察を行い、術後の経過を確認させていただきます。がんのステージによっては、手術後に化学療法(抗がん剤治療)が必要となる場合があります。
閉じる
保険適用内結腸がんの手術
- 適 応
- 結腸がん
- 入院期間
- 約13日程度
全文を見る
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
結腸がんの場合は、入院期間は13日程度です。手術1日前に入院していただき、術後11~12日程度で退院となります。
仕事の内容にもよりますが、退院後1~2週間は自宅で経過をみて、問題なければ仕事に復帰できます。
手術の翌日もしくは翌々日からお部屋の中を歩くことができます。
退院後は、多くの患者さんが1~2週間程度で仕事に復帰されます。手術後は、1ヵ月後、3ヵ月後に外来診察を行い、術後の経過を確認させていただきます。がんのステージによっては、手術後に化学療法(抗がん剤治療)が必要となる場合があります。
閉じる
保険適用内肺がんの手術
- 適 応
- 肺がん
- 入院期間
- 約7日程度
全文を見る
※保険適用のため、自己負担額を軽減する「高額療養費制度」を利用することができます。詳細はこちらをご覧ください。
入院から退院まで、退院後の生活について
肺がんの場合は、入院期間は7日程度です。手術前日に入院していただき、術後5日程度で退院となります。
仕事の内容にもよりますが、退院後1カ月程度は自宅で経過をみて、問題なければ仕事に復帰できます。
手術の翌日もしくは翌々日からお部屋の中を歩くことができます。
手術後は、2週間後、1カ月後、6カ月後に外来診察を行い、術後の経過を確認させていただきます。
がんのステージによっては、手術後に化学療法(抗がん剤治療)が必要となる場合があります。
閉じる
医療環境
環境にこだわりました
手術室
ロボット先端手術センターでは、術式の多様化や低侵襲化に対応する医療設備の充実はもとより術前・術中の患者さんの心身のストレス軽減に配慮いたしました。
女性の患者さんや高齢者を含む全ての患者さんのストレスを少しでも軽減したいという想いから、4室新設した専用の手術室は、一般的なイメージを覆す“温もりのある照明・木目調のやさしい内装”となっています。
Q&A
- Q ロボット支援下手術を受けられるのはどのような疾患ですか。
- A 当院では、以下の疾患に対してロボット支援下手術を導入しています。(2024年12月現在)
泌尿器科領域:前立腺がん、腎がん、骨盤臓器脱
婦人科領域:子宮体がん、子宮筋腫、骨盤臓器脱などの良性疾患
消化器外科領域:直腸がん、結腸がん
呼吸器外科領域:肺がん
この中でも、術式の手術適応は患者さんの全身状態、がんの部位、進行状況によって限られます。ロボット支援下手術が可能かどうか、各診療科医師へお気軽にお尋ねください。
- Q 「ロボットに手術される」と考えると、少し怖い気がしますが、大丈夫でしょうか。
- A ロボット支援下手術はロボットが手術を行うのではなく、医師がロボットを利用し、より精度の高い手術を可能としたものですので、ご安心ください。また、当院は手術件数も多く、執刀する医師は認定資格を取得し、トレーニングを積んだ熟練した技術を持った医師によって行っております。
- Q 費用はどのくらいかかるでしょうか。
- A
保険適用でロボット支援下手術を受ける場合、患者さんが負担する費用は、通常の腹腔鏡下手術と同額になります。
個別のケースにより治療内容や費用は異なりますが、ほとんどの方が高額療養費制度を利用していただけますので、平均的な所得の人であれば、自己負担額は約8万円程度で、それ以上はかかりません(保険適用外の費用は除く)。
制度の詳細については厚生労働省のホームページをご覧ください。
- Q 「ロボット支援下手術」を受けるにはどのようにしたらよいでしょうか。
- A ロボット支援下手術をご希望される場合、まずは当院の担当診療科の医師に相談し、自分のケースがロボット支援下手術の適応となるかを確認してください。
- Q ロボット支援下手術では、合併症は起こらないのでしょうか?
- A ロボット支援下手術も、合併症が起こる可能性はゼロではありません。
MESSAGE
最先端の医療技術を安心して患者さんに受けていただくことを目的として、2021年2月新棟2Fにロボット先端手術センターを開設しました。手術のときに大きく開腹することがないため、体への負担が少なく術後の回復も早い「低侵襲手術」が注目されています。当院では全国に先駆け低侵襲手術を導入し、多くの実績を残してまいりました。ロボット先端手術センターでは、術式の多様化や低侵襲化に対応する医療設備の充実はもとより術前・術中の患者さんの心身のストレス軽減に配慮いたしました。
2013年の導入以降、国内有数の手術経験を有し、当院が担う最先端医療の一つとして確実に実績を上げております。
今後も地域の皆さまが安心して最先端の医療技術を受けられるよう、治療の選択肢の一つとして「ロボット支援下手術」を提供してまいりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
ロボット先端手術センター
センター長 安藤正明
お問い合わせ
倉敷成人病センター
086-422-2111(代表)
診察(初診・再診・変更)のご予約
予約センター
086-422-2112
受付時間 平日 9:00~16:00
※ご予約の際は診察券を、予約変更の場合は予約票をご用意ください。
※変更の場合は13:00~16:00が受付時間です。
紹介状をお持ちの方のご予約
患者総合支援課 地域連携
086-422-2116
受付時間 平日 8:30~18:30
- 住所
- 〒710-8522 岡山県倉敷市白楽町250
- アクセス
-
- お車でお越しの方 山陽自動車道「倉敷IC」または瀬戸中央自動車道「早島IC」より約15分
- 電車でお越しの方 JR「倉敷駅」下車。徒歩約20分、バス・タクシーで約5分
- バスでお越しの方※『JR倉敷駅』から乗車の場合
下電バス:「塩生線:大高経由JR児島行き」「茶屋町線:倉敷成人病センター行き」「中庄線:倉敷成人病センター行き」乗車、「倉敷成人病センター前」下車
両備バス:「倉敷循環線:左回りまたは右回り」乗車、「倉敷成人病センター前」下車 ※左回りに乗車いただくと所要時間が短いです。 - 岡山桃太郎空港からのアクセス 岡山桃太郎空港からバス終点「JR倉敷駅」下車。駅からバス / タクシーで約5分