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婦人科

子宮体がん




子宮体がんとは

子宮体部にできる子宮がんです。子宮頸部の頭側に連なる球状の部位を子宮体部と呼び、その部位の子宮内膜から生じるがんを子宮体がんと言います。
子宮頸がんとは、転移の分布の違いで区別しています。

子宮内膜に発生したがんは次第に外側の筋層に浸潤し、さらに子宮頸部や卵管・卵巣に及びます。
また、骨盤内や大動脈周囲のリンパ節に転移が起こりやすく、さらに進行すると、腹膜・腸・肺・肝臓・骨などに転移し、全身に及ぶこともあります。

子宮体がん

子宮体がんの罹患率

人口10万人あたりの罹患率をみますと子宮体がんが年々増加しているのが分かります。

子宮体がん2

症状

子宮体がんでは、比較的初期のうちから不正出血が起こります。したがって「月経以外におかしな出血が長く続く」「閉経後に不正出血がある」といった場合には注意が必要です。その他、水っぽいおりものや血液の混じったおりものが見られることもあります。

原因

子宮体がんの発生には、エストロゲンという女性ホルモンによる子宮内膜への刺激作用が関与しています。
卵巣から分泌されるエストロゲンは、排卵後の卵巣や胎盤から分泌されるプロゲステロンという女性ホルモンとともに月経・妊娠・出産をコントロールしています。

しかし、何らかの理由でプロゲステロンが分泌されずエストロゲンが単独で分泌される期間が続くと子宮体がんのリスクが高くなると考えられます。
閉経後の女性、未婚の女性、妊娠・出産の経験がない、または少ない女性は、プロゲステロンが分泌される機会が少ないため子宮がんのリスクは高まります。

子宮体がん 受診 ・検査の流れ

① 問診・診察

気になる症状などについて医師にご相談ください。問診票をもとに、医師から質問をさせていただきます。
その後、診察台にて内診を行ないます。子宮頸部を観察したり、エコー検査で腹部または腟の中から超音波(エコー)をあて、子宮や卵巣などの様子を観察したりします。また、必要時には、子宮頸部の表面の細胞を綿棒などで軽くこすり取り、がん細胞などの異常細胞がないかどうかを確認する「細胞診」を行ないます。



② 精密検査

内診やエコー検査の結果、子宮体がんが疑われた場合、精密検査を行ないます。どのような検査を行うかは、問診・内診(細胞診)の結果によりますが、以下のような検査があります。

  • 尿検査:おしっこを採取して、成分を調べます。
  • 血液検査:血液を採取して、成分を調べます。
  • CT検査:X線を使って体の内部を撮影した画像をコンピューターで処理して、子宮や卵巣、その周辺の臓器などの状態を調べます。
  • MRI検査:磁気を使って体の内部を画像化し、子宮や卵巣、その周辺の臓器などの状態を調べます。

※CT,MRI検査は予約制のため、受診日当日に検査ができない場合、後日の検査になる可能性があります。
これらの検査結果によって症状を特定し、治療方法(手術など)を決めていきます。

腹腔鏡下手術による子宮体がん治療

子宮体がんの手術療法には開腹手術と腹腔鏡下手術があります。
当院では開腹手術はもとより腹腔鏡下手術を数多く手がけています。

腹腔鏡下手術とは、腹腔鏡と呼ばれる直径0.5~1cmほどの長い棒状のカメラを用いた手術です。
腹部に0.5~1cmほどの穴を1~4カ所開けて、炭酸ガスでおなかを膨らませてから腹腔鏡を挿入し、腹部内部(腹腔)の様子をテレビモニターで確認しながら、鉗子(かんし)といわれる特殊な細い器具を使って手術を行ないます。
腹腔鏡下手術は、開腹手術と比べて体を傷つけることが少なく、回復が早いなどさまざまなメリットがあります。

多くの子宮体がんの症例では、リンパ節転移が広汎に起こり得るという特長があるため、子宮全摘術に加え、他臓器への転移を予防するために骨盤内や腹部大動脈などのリンパ節郭清(切除)を行ないます。子宮周囲のリンパ節は腎臓の動脈付近にまで達するほど広がっているため、開腹手術の場合、リンパ節郭清を行うと下腹部からみぞおちに達するまでの長大な切開が必要となり、術創が非常に大きく体への負担もかかります。

大きな切開は術後の痛み、回復の遅れ、癒着による腸閉塞のリスクを伴うため、当院では積極的に腹腔鏡下手術を採用し、後腹膜(腹側部からの)アプローチによるリンパ節郭清を導入しました。これにより痛みの大幅な軽減、歩行・食事開始までの期間の短縮、出血量の軽減が可能になります。腹腔鏡は容易に体腔深部を観察でき、また映像を拡大して手術できるためリンパ節郭清も開腹手術を上回る精度で行えます。

後腹膜アプローチによるリンパ節郭清

後腹膜アプローチによるリンパ節郭清

リンパ節は体の深い位置にあるため開腹手術を行うと、かなり大きな傷になってしまいますが、後腹膜(腹側部)からのアプローチにより簡単に患部・摘出部位に到達できます。
腹腔鏡などを挿入するための数箇所の小さな傷のみですので、傷痕が目立たず、治療後の回復も早いのが特徴です。
大きな切開は術後の痛み、回復の遅れ、癒着による腸閉塞を伴うため、積極的に腹腔鏡下手術を導入しています。
これにより痛みの大幅な軽減、歩行開始食事開始までの期間の短縮、出血量の軽減が可能です。
腹腔鏡は容易に体腔深部を観察できまた映像を拡大して手術をおこなうため郭清の精度も開腹を上回るものです。

治療の進行もスムーズに

子宮体がんの進行例では術後の再発予防のために、化学療法や放射線療法を施行します。
これらは手術による体のダメージが軽減してから施行するので、短期間で回復が望める腹腔鏡下手術はより有用だと考えられます。

合併症

一般的な合併症としてリンパ節郭清によるリンパ浮腫・リンパのう腫が挙げられます。
倉敷成人病センターでは医師、看護師、理学療法士が連携して合併症の予防や治療に対応しています。

入院期間と費用の目安

手術方法 入院期間 費用の目安
腹腔鏡下手術 健康保険利用3割負担の場合 7日 39万円
保険適用外(自費)の場合 10日 170万円
開腹手術 健康保険利用3割負担の場合 14日 45万円

※2022年9月現在のものです。
※上の表は概算であり、個人の疾患等により期間および費用は変動します。
※悪性腫瘍はステージやグレードにより手術領域が変わるため、費用に差があります。
※高額医療費制度を利用される方は限度額認定証の事前申請をおすすめいたします。

子宮体がんの術後3年 無再発率・生存率(当院実績)

当院の2009年4月から2013年9月までの手術症例を元に、がんの進行度別に子宮体がんの術後3年の無再発率・生存率データを示しています。

  • 対象:2009年4月~2013年9月手術症例
  • 対象手術:開腹/腹腔鏡手術で根治術またはそれに準じるもの
  • 病期:術後病理(UICC)、術前ケモの場合は臨床病期
  • 他病死等の死亡も含む

子宮体がんの術後3年 無再発率子宮体がんの術後3年 生存率

倉敷成人病センターの子宮体がんの治療成績は、I期99%、Ⅱ期100%、Ⅲ期74% 、Ⅳ期40%と予想を上回るすばらしい治療成績(生存率)がでております。
私どもは1998年から1000例を超える悪性症例に関して、腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清をおこなっており、常に安全な手術を心がけてきました。またこの期間に得られた信頼度の高い生存率データも持っています。
当院の技術は国内はもちろん海外でも広く認められており、患者さんにも安心して手術を受けていただくことができます。


最近紹介された主な書籍・メディア   


Dr.安藤正明のホームページ


当院婦人科には広島、香川など近県はもとより全国から患者さんが、診察やセカンドオピニオン等で来院されています。
大きな開腹創に不安をお持ちの患者さん、早期社会復帰が必要な方、低侵襲(体の負担が少ない)な手術法に関するセカンドオピニオンを求めていらっしゃる患者さん、治療方法や費用についても一度ご相談ください。一人でも多くの方の力になれたら幸いです。