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泌尿器科

骨盤臓器脱

  1. 骨盤臓器脱とは
    骨盤臓器脱とは、膣前壁、膣後壁、膣円蓋(子宮頸部/子宮)または膣子宮摘出後の膣断端の下垂と定義づけられています。具体的には、膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱、直腸瘤、膣断端脱などで、女性特有の疾患です。骨盤臓器脱の種類
  2. 症状について
    異物感(何かが下りてくるような感じ)、腰痛、重い感じ、引っ張られる感じ、排尿困難、排便困難、排尿や排便のために指で脱を整復させる必要があるなどがあります。その一方、急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢ができずに頻回にトイレに行ったり、間に合わずに漏れてしまったり(切迫性尿失禁)することもあります。
    通常寝ている時は脱が引っ込んでいるため、夜間や起床時の排尿はスムーズですが、長時間の立位後や、歩行後、あるいは午後になると症状が強くなります。しばしば入浴中に、ピンポン玉のようなものを陰部に触れることで気づきます。
  3. 原因について
    A.経膣分娩で骨盤底の筋肉や靭帯の障害
    B.女性ホルモンの分泌低下により、膣周囲の支えが弱くなる
    C.肥満、慢性の便秘、重い荷物を運んだり立ち仕事の多いなど、腹圧がかかり続ける場合
  4. 治療について
    骨盤臓器脱については、その治療として手術療法を積極的に行なっています。手術名は腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)といいます。手術は全身麻酔で約2㎝の傷1つと、5mmの傷3つのみで、腹腔鏡を用いて行います。手術時間は2時間半~3時間程度です。翌日から歩行開始で、食事も可能です。入院は1週間前後となります。年々、手術症例は増加し続けています。2020年6月より、ロボット支援手術も導入しています。④骨盤臓器脱



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(1)チームでの診療体制

当院では、疾患の啓発から予防、治療までをサポートできるよう医師、看護師、理学療法士、栄養士、広報部、事務部で構成する専門チームを立ち上げ活動を開始。情報を共有し、円滑に診療が行えるようにカンファレンスを行なっています。横の連携を意識して活動しています。チームでの診療体制


(2)骨盤底筋リハビリテーション

2019年5月より外来で、専門の女性理学療法士による骨盤底筋リハビリテーションを開始しました。マンツーマンで骨盤底筋訓練を行なっています。月に1回程度のリハビリで、継続期間は6カ月を目標としたプログラムです。一般的に効果を実感するまでには、3カ月以上の継続が必要とされます。したがって今後、膣圧計・超音波検査等を用い、成果の「見える化」を導入し、患者充実度・満足度をアップさせ、楽しく継続していただくようすすめています。


(3)腹腔鏡手術需要の増加

当科では2007年より、経膣式に膣部にメッシュを挿入・留置するTVMを続けてきました。2016年の保険収載後、積極的に腹腔鏡下メッシュ手術を導入し、現在はほぼ、経膣メッシュ手術から腹腔鏡手術に移行しています。その手術件数も年々増加傾向です。腹腔鏡手術はスキルを必要とし、手術時間が長時間となることが問題でしたが、件数増加に伴い手術時間は短縮傾向となっています。従って、高齢のかたでも安心して受けていただけるようになりました。 2020年4月からロボット支援LSCも保険適応となり、当院でも開始しています。腹腔鏡手術需要の増加-1
腹腔鏡手術需要の増加-2


(4)健康寿命の延伸/健康な老後

健康寿命は年々延びてきています。内閣府の「未来投資戦略2017」でも健康寿命の延伸は目標項目として明記されています。 尿失禁、骨盤臓器脱はがんのような悪性疾患ではないので、それ自体で命を脅かすものではないものの、患者さんの日常生活にあたえるインパクトは想像以上に大きいものです。多くの患者さんは、尿失禁、臓器の脱出による激しい違和感に日々悩まされています。そのため、外出を控えるようになり家に引きこもりがちとなり、重度の場合はうつ状態となる場合もあるといわれます。
地域での講演・啓発活動を行うことで、尿失禁、骨盤臓器脱の悩みを抱える方々に疾患・治療に関する情報を発信します。抱える悩みを解決することで、社会活動に積極的に参加していただき、健康的な生活を取り戻すことを目指します。健康寿命の延伸


(5)難治性過活動膀胱の治療/ボトックス注入

患者数は潜在的には800万人にものぼると言われ、年齢が上がるにつれて患者数も増加します。突然の我慢できない尿意が主症状で、中には尿失禁を伴うものも多いです。一般的には薬物療法が行なわれるケースがほとんどです。しかし、中には骨盤臓器脱がその原因となっているものもあり、一般的な治療ではしっかりと改善しません。
治療として一般的に薬物療法が行われることが多いですが、近年行動療法(生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋訓練)の重要性も認識されるようになりました。学会の診療ガイドラインでは行動療法がまず行うべき治療法として挙げられています。薬物に頼らない、自身で行う行動療法を今後、積極的に取り組むこととしています。
なかには治療抵抗性の難治性過活動膀胱もあります。これに対しては、ボツリヌス毒素(ボトックス®)の膀胱内への注射による治療を開始しました。(2020年に保険収載)