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泌尿器科

尿路結石



尿路結石の基礎知識

尿路結石とは?その原因と症状

尿路結石とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路内に発生する固形物のことを指します。この固形物は、尿中のカルシウムやリン酸、尿酸といった成分が結晶化・凝集することで形成されます。

主な原因
水分摂取不足や偏った食生活、遺伝的な体質、代謝異常など
主な症状
小さな結石であれば無症状のこともあります。一方で、腰や腹部に激しい痛みを伴ったり、血尿、頻尿、尿が出にくいなどの症状が現れることがあります。これらの症状が出た場合、早めに病院を受診し、泌尿器科での診断と適切な治療が重要です。


自然排泄と治療が必要なケースの違い

尿路結石の治療方針は、結石のサイズや位置、症状の重さに応じて異なります。適切な治療方法の選択には、医師の診断やCT検査、内視鏡などの評価が重要です。痛みや症状が強い場合には我慢せず、すぐに泌尿器科を受診しましょう。

5mm以下の小さな結石
自然排泄が期待できるため、十分な水分摂取や痛みを和らげる対症療法で対応することが多いです。これは、結石が尿流に乗って体外に排出されるからです。
10mm以上の大きな結石
尿の流れを妨げる位置にある場合など
腎臓や尿管に負担がかかり、腎不全や感染症の合併症を引き起こすリスクがあります。このようなケースでは、結石破砕治療が必要になります。

当院では、背中や腹部の痛みで来院された患者さんには、まず尿検査、超音波検査、レントゲン、採血を行い、他の腹痛を起こす病気ではないかどうか鑑別診断します。症状に合わせ、痛み止めなどの処置も行います。
症状がなく、健康診断などで偶然に結石が見つかり受診された方には、超音波検査やCT検査などの画像診断を行い、治療が必要な結石かどうか判断します。


尿路結石が体に与える影響とは?

尿路結石は放置すると、泌尿器系にさまざまな悪影響を与える可能性があります。結石が尿管や腎臓内で尿の流れを遮断すると、腎臓に圧力がかかり、水腎症と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。この状態が長期化すると腎臓の機能が低下し、最悪の場合、慢性腎不全を引き起こすリスクがあります。
また、尿路結石が細菌感染の原因となることもあります。この場合、腎盂腎炎を発症するリスクが高まり、全身状態を悪化させます。このような場合には、早急な抗菌薬治療や結石除去術が必要です。
特に大きな結石や硬い結石の場合、経皮的腎砕石術(PNL)や内視鏡併用結石手術(TAP;TUL補助下PNL)が推奨されます。これらの治療法は、腎臓や尿管から直接結石を破砕・除去し、尿路の正常な機能を回復させることを目的としています。
尿路結石を放置せず、迅速に泌尿器科で適切な治療を受けることで、これらの合併症を防ぐことができます。



結石破砕治療の選択肢と適応

治療は大きく、薬の内服・生活指導による保存的治療と、手術による積極的治療に分かれます。
結石手術には以下のような手技があります。結石の大きさと部位はもちろん、患者さんの生活スタイルや希望に合わせた最適な治療方針を、担当医師とよく相談して決定することが重要です。

体外衝撃波結石破砕術
ESWL
体の外から衝撃波を照射して結石を細かく砕きます。非侵襲的な治療法で、結石が比較的小さい場合や、腎臓や尿管のどの位置にあるかによって適応されます。患者さんの負担が少なく、入院が不要な場合が多いです。
経尿道的尿管砕石術
TUL
尿道から内視鏡を挿入して、尿管や腎臓内まで到達させます。レーザーなどの砕石装置を使って、テレビモニターで見ながら結石を砕きます。腎臓や尿管にできた比較的小さな結石に適しています。
体への侵襲が比較的小さく、入院期間も比較的短いため、仕事や日常生活への復帰の早さが利点です。
経皮的腎砕石術
PNL
腎臓や尿管にできた大きな結石に対して、腎瘻(じんろう)という背中から直接腎臓に到達する通り道をつくります。ボールペンの太さ程度の小さな穴から内視鏡を腎瘻内に入れて、テレビモニターを見ながら結石を割り、摘出します。
大きな結石や腎サンゴ状結石、硬い結石、感染結石といった、一般的なTULでは対応が難しいケースに用いられます。
内視鏡併用結石手術
TAP(TUL補助下PNL)
難治性の結石に対し、TULとPNLを同時に行う内視鏡手術で、当院が日本で初めて開発した新しい術式です。
TULまたはPNL単独では対応が困難であったケースにも対応可能で、TULとPNL双方の特徴を生かし、より体にやさしく低侵襲で、効率的な結石破砕を可能にしました。



内視鏡併用結石手術(TAP;TUL補助下PNL)が可能にした新たなアプローチ

尿路結石
尿路結石センター長 石戸医師が日本で初めて開発した新しい術式

TULとPNLを併用したTAP(TUL補助下PNL)は、当院の尿路結石センター長 石戸則孝医師が日本で初めて開発し、2020年に保険適用となった新しい術式です。
大きくて硬い石・複雑な形状の石などの難治性結石に対し、最新式レーザー破砕装置を用い、経皮と尿道の双方向から治療します。腎臓や尿管の石に対する手術では、尿道に加え、脇腹から腎臓まで到達する通り道を作り、ボールペン半分くらいの太さの管から内視鏡を入れて、テレビモニターを見ながら石を砕き、体外に吸い出します。

尿路結石

併用術による術中の利点と効果

TAP(TUL補助下PNL)がもたらす最大の利点は、TULとPNLの長所を同時に活かせる点です。
TULは尿道から内視鏡を挿入することで腎臓や尿管内の視認性を確保し、細かい操作が可能です。一方、PNLは背部から腎臓に直接アプローチするため、大きな結石の破砕が得意です。併用することで、視野不良やアクセスの難しい部位への対応力が向上しました。特に、内視鏡の共有による操作の効率化や、腎臓内の残存結石を最小限に抑えることが可能です。
また、協調して操作することで手術時間の短縮も期待でき、患者さんへの負担軽減や合併症リスクの抑制にも寄与します。具体的には、術中における結石の破砕と吸引を同時進行で行うことで、術後の残石率が低減するとされています。


修正Valdivia体位の役割と重要性

TAP(TUL補助下PNL)を行う際は、患者さんの体位管理が重要です。その中でも修正Valdivia体位と呼ばれる手法が取り入れられています。この体位は、患者さんをわずかに側臥位(横向き)に倒した形をとり、術者がTULとPNLの両方のアプローチを効率的に実施できるように工夫されています。
この体位の利便性は、PNLでの背中からのアプローチだけでなく、TULでの尿道からの視認性を両立できる点にあります。また、術中の内視鏡や超音波画像を活用した手術操作がスムーズになるため、結石の位置に応じた柔軟な対応が可能です。術者にとっての操作負担の軽減だけでなく、安全性の向上にも寄与する重要な要素です。


難治性の腎結石症例での治療成功率の向上

従来、20mm以上の大型結石や腎サンゴ状結石など複雑な形状をした結石の治療は技術的に難しく、術後の残石率が課題とされてきました。しかし、TAP(TUL補助下PNL)の導入により、こうした難治性の症例の治療成功率が大幅に向上しています。特に、PNL単独では取り残しのリスクが高い場合でも、TULの補助効果によって残石の徹底的な除去が可能となりました。
また、TAP(TUL補助下PNL)における効率的な結石破砕と排出機能は、合併症のリスクを低減するだけでなく、患者さんの術後回復を早める効果ももたらしています。



尿路結石の予防方法

石の成分を分析

当院では、石の性質を予知する特殊なCTなどの画像検査に加え、尿や血液検査により、石ができる原因を調べることができます。体外に取り出された石の成分から遺伝性の有無などを調べ、再発を予防する方針を立てます。



食生活や水分摂取の重要性

尿路結石の予防には、食生活の改善が大切です。例えば、尿が濃縮されないように「水やお茶をたくさん飲む」ことや、尿路結石を生むシュウ酸を多く含む食品の摂取を控えるのも、効果的な予防法です。
また、食後は尿が濃くなります。食後すぐに眠ってしまうと、濃度の高い尿が尿路に停滞して、結石ができやすくなります。食後すぐに眠りに就く習慣のある方は改めましょう。
石の再発を繰り返す患者さんに対しては、生活習慣病の是正や体質改善の一環として、推定食塩摂取量から減塩などの生活指導にも力を入れています。水分補給に加え、必要に応じて再発を予防するお薬を処方します。



監修医師

泌尿器科_石戸則孝

泌尿器科 部長
尿路結石センター センター長
石戸 則孝




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