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小児科

子どもの食物アレルギー検査「食物経口負荷試験」

2024/10/21



食物経口負荷試験とは

食物アレルギーの子ども

食物経口負荷試験(OFC; oral food challenge)とは、アレルギーと分かっている、または疑いのある食材や食品を医療機関で実際に食べ、その後の反応を観察していく検査です。

アレルギーのある食物を口にする場合、皮膚や呼吸、おなかなどに症状が現れるリスクが少なからずあります。
家で食べて、万が一アレルギーの症状が出てしまった場合、準備がないと治療・対応が遅れ、症状がさらに悪化してしまう可能性もあります。

食物経口負荷試験は、食べる前後の様子や食べた後の状態を診察・チェックし、症状出現時には医師・看護師がすぐ対応できるよう医療機関で環境を整えて実施します。



検査を行う目的

食物アレルギーの原因となる食品を見つける

食物アレルギーの診断は血液検査だけでは確定できず、食物経口負荷試験で実際に口にして、症状が出るかを確認することが一番確実な診断方法です。
詳しく問診を行い、明らかな因果関係が分からない場合は、アレルギーが疑われる食品の試験を計画します。
また、今まで食べたことがないものの、検査などからアレルギーの可能性がある食品を食物経口負荷試験で初めて食べる例もあります。


安全に摂取できる食品の量の評価・耐性を確認する

特定の食品にアレルギーがあっても、少量または特定の調理法・加工法なら食べられることも少なくありません。
また、症状を起こさない最低限の量を定期的に食べることで、耐性ができる確率が上昇します。
その量の評価・耐性獲得の確認のために、食物経口負荷試験を行います。
なお、食物アレルギーの中でも小さいお子さんの症例、特に3大アレルゲンと呼ばれる卵・牛乳・小麦については、成長することで耐性がつき、食べても症状が起こらなくなるという症例が多いです。



検査前に行うこと

診察・問診

子ども診察

安全に試験を行う・リスクを極力避ける目的も含めて、まずは患者さんの診察・過去の症状が現れた時の症状や経過の確認、既往歴・家族歴の聴き取りなどを行います。その結果、食物アレルギー以外の病気が原因と判明することもあります。


血液検査

採血

診断および食物経口負荷試験前のサポートとして、血液検査などの他の検査を行う場合もあります。
たとえば、血液検査によって行う特異的IgE抗体検査は、アレルギーの疑いのある食品・成分を評価するための補助的な指標となります。アレルギー症状がどれくらいの確率で起こるか評価し、食べる量を決定する上での目安に用います。


合併症の治療・管理

子供アレルギー種類

食物アレルギーの患者さんは、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの他のアレルギー疾患を合併する方も多く、他にも呼吸器や心臓などの基礎疾患がある方もいます。
食物経口負荷試験では、強い症状が発症しやすい要因の一つとして、他の病気の影響(たとえば風邪などで全身状態が悪い場合、基礎疾患やアレルギー疾患のコントロールが悪い状態)が挙げられます。
このような場合は、検査の前に合併症の治療・管理を行うことが望ましいです。それらを経て、問題ないと評価したうえで検査の予定を立てていきましょう。


内服薬の処方

内服薬

何を・どのくらいの量食べるか、1回で食べるか・2回に分けて食べるか、食べてもらった後にどれくらい観察するかなど、個人に合わせて決めて、万が一の症状出現時に備えて、治療の内服薬をあらかじめ処方します。
なお、アレルギーの内服薬をはじめ、定期的にお薬を内服されている場合、食物経口負荷試験の経過に影響を及ぼす可能性があるため、検査前数日から内服を一時中止していただく必要があります。




検査当日の流れ

当院では、負荷後の観察や症状出現時の対応を速やかに行えるよう、日帰り入院で病棟での実施を基本としています。

1.来院・診察
検査当日の朝に小児科病棟に来ていただき、診察・ご家族への最終確認を行います。
2.食品の摂取
食品の量を調整し、実際に食べていただきます。
基本的には2回に分けて食べ、1回目と2回目の間は1時間ほど開けます。摂取後の観察は最終摂取から3時間ほどを目安としています。

過去にアナフィラキシーなど強い症状があった方や、症状出現のリスクが高い方、摂取後数時間後に嘔吐を繰り返すことを主症状とする急性FPIESと呼ばれる症例などでは、1回で食べ、症状経過を約6時間観察します。
※食物アレルギーは患者さんによって原因の食物は多岐に渡るため、当院では食品・食材をご家族に準備いただくようお願いしています。
3.定期的な診察
心電図・酸素飽和度などのモニターを装着して、定期的に診察・状態確認をします。
目標の時間まで症状がないことが確認できれば、"陰性"と評価されます。

症状が出た場合

発疹や咳・呼吸苦、嘔吐などのアレルギーと考えられる症状が出た場合、"陽性"と評価されます。
すぐに検査を中止して診察し、症状の強さによっては内服薬・点滴/注射薬・吸入などの治療を開始します。
症状が軽度の場合は、治療を行わずに観察することもあります。
アナフィラキシーなど強いアレルギー症状が出た場合は、アドレナリンの筋肉注射も行います。
症状が長く出現している、または一度改善しても再び悪化するリスクが心配される場合、退院を延期して翌日まで観察を続けます。

症状の中には、治療を要さないほどごく軽度、あるいはアレルギーとの関連が必ずしも断定できず、"保留"と評価する場合もあります。
4.退院
目標の時間まで症状がない/改善している状態で、体温・心拍数・呼吸回数・血圧の異常がないことが確認できれば、退院となります。

通常通り過ごしていただいて構いませんが、帰宅後に症状が出現する可能性はゼロではありません。その旨を説明して、少なくとも検査当日は丸1日、ご家族に観察をお願いしています。
以下のような強い症状が出現した時には、すぐにご連絡ください。(代表:086-422-2111)

  • 皮膚・粘膜の症状:顔や体の広範囲にわたる発赤・腫れ・痒み、口唇や口腔内の発赤・腫れ等
  • 呼吸器の症状:激しい咳、のどの痛みや痒み、息苦しさ、喘鳴(ゼーゼーする)等
  • 消化器の症状:激しい腹痛、繰り返す嘔吐・下痢等
  • その他の症状:活気低下・意識障害、不整脈、徐脈/頻脈等

検査後の対応

陰性だった場合、検査で食べた量は自宅でも摂取可能となります。
1日おき、または週2~3回ほど練習として食べ、外来診察で症状を確認します。症状がなければ、練習での摂取量を徐々に増やしていきます。

なお、保留や陽性であっても、今後一切食べられないというわけではなく、これまでに摂取可能だった形態・量は継続して食べることを指導させていただきます。または、期間をおいて、再度同食品の試験を実施することを計画します。
他の食物アレルギーもある場合、その食物の検査を実施することも提案いたします。


Q&A

Q:食物経口負荷試験は何歳からできますか?
一般的には何歳からできるという基準は特になく、食物や摂取量、方法などを調整することで、乳児を含めた小児から成人まで実施可能です。
症状の出現時期や原因となる食物の種類にもよりますが、離乳食開始時期の前後にあたる生後5~6カ月頃から実施可とすることが多いです。重症の牛乳アレルギーなどの場合、それ以前の実施も検討することがあります。
Q:食物経口負荷試験を受けた方がいいタイミングなど、受診の目安はありますか?
受診/検査するべきタイミングの一例として、「食物アレルギーの原因食品が分からない場合」、「アレルギーと診断されている食品の食べられる量が分からない場合」などが挙げられます。
食物アレルギーと考える症例の中には、血液検査などを行っても原因の食品がはっきりしない場合もあります。そのような状況では、原因を特定するために食物経口負荷試験を行って、特定の食品で症状が出現するか観察することを提案します。
また、症状を起こさない最低限の量を定期的に食べ、摂取量を徐々に増やしていくことで耐性がついていき、食物アレルギーが治りやすくなります。しかし “どのくらいの量までなら安全に食べることができるか” は、問診や血液検査などでは正確に評価できないので、食物経口負荷試験で実際に食べてもらい、その量を評価します。
食物経口負荷試験は食物アレルギーの患者さん全員に必ずしも必要な検査ではありませんが、アレルギーのことや食事の進め方などに不安がある場合は医療機関にご相談ください。
Q:食物経口負荷試験の費用はいくらかかりますか?
食物経口負荷試験は保険適用の検査です。負担割合が2割(6歳・3月末以前/義務教育就学前)の場合は12,000円、3割(6歳・4月以降/義務教育就学以降)の場合は18,000円程度の自己負担ですが、小児医療費公費負担制度が適用される場合は自己負担はありません。
食事(1食あたり490円)および電気器具利用料(1日につき1,980円)、その他保険適用外のサービスには別途費用がかかります。
※金額は2024年9月時点の情報です。

お子さまの食物アレルギー検査(食物経口負荷試験)をご希望の方は、まずは小児科の外来診察が必要になりますので、下記よりご予約ください。
※紹介状がなくてもご受診いただけます(特別料金は不要)

【予約センター】
086-422-2112
(受付 平日9:00~16:00)

女医・看護師