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外科

膵嚢胞

膵嚢胞とは膵臓の中にできる内部に水成分などを含んだ袋状のものを指します。検診やドックなどで行われる腹部超音波検査やCT検査などの画像検査の向上により偶然に見つかることが増えてきている病気です。
膵嚢胞には、急性膵炎や慢性膵炎などの炎症などに伴って発生する良性のものから腫瘍性のものまでさまざまな種類があります。自然消退するものから、手術が必要となるものまでさまざまであり、診断の結果によって治療方針が大きくことなるため、各種検査を組み合わせてできるだけ正確な診断を行なう必要があります。

1.主な膵嚢胞性疾患

非腫瘍性
仮性嚢胞:Pseudocyst 炎症(急性膵炎、慢性膵炎など)や外傷後に伴う嚢胞
貯留嚢胞:Retention cyst
単純性嚢胞:Simple cyst
リンパ上皮嚢胞:Lymphoepithelial cyst
類表皮嚢胞:Epidermoid cyst
類皮嚢胞:Dermoid cyst
腫瘍性
粘液性腫瘍
膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal papillary mucinous neoplasms;IPMN)*
粘液性嚢胞性腫瘍(Mucinous cystic neoplasms;MCN)*
漿液性腫瘍
漿液性嚢胞性腫瘍(Serous cyst neoplasms;SCN)
充実性腫瘍の嚢胞変性
充実性偽乳頭状腫瘍(solid-pseudopapillary neoplasm; SPN)*
膵神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine neoplasms;NEN)の嚢胞変性 *

2.手術が必要となる膵嚢胞性疾患

1) 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

男性にやや多い、好発年齢は60~70代、しばしば多発性、多くは多房性(ぶどうの房状;cyst by cyst)。主膵管と交通あり。主膵管型と分枝膵管型に分類され、主膵管型は悪性の事が多く手術適応です。分枝膵管型は、大きさ3㎝以上、嚢胞内結節、主膵管の拡張を認める場合や症状を有する場合などは手術が考慮されます。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)


手術を検討する必要のある分枝型IPMN
手術を検討する必要のある分枝型IPMN
手術を検討する必要のある分枝型IPMN


手術をしない場合の分枝型IPMNの精査および定期フォロー検査
手術をしない場合の分枝型IPMNの精査及び定期フォロー検査

2) 粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)

女性、中年に多い、膵体尾部に好発、卵巣様間質を含む厚い線維性被膜を有する。内腔に凸の嚢胞内嚢胞を有する(夏みかん様:cyst in cyst)。嚢胞間の交通はなく、MRIの信号レベルや超音波検査のエコーレベルが嚢胞事に異なる。主膵管との交通はなし。切除可能なら切除。4㎝未満で壁在結節のない症例で浸潤がんの可能性は15%程度。

粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)

3) 漿液性嚢胞性腫瘍(SCN)

女性に多く、好発年齢60歳前後、頭部と体部で差はなし。微小嚢胞が集簇したmicrocystic type、肉眼的に多房性を有するmacrocystic type、またその亜型で単房性のunilocular type、両者が混在するmixed type、顕微鏡レベルの微小嚢胞の集簇で充実性に見えるsolid typeがある。主膵管との交通はなし。嚢胞間隔壁が多血性で造影CT検査で濃染。治療の原則は経過観察。有症状は切除適応。

漿液性嚢胞性腫瘍(SCN)

4) 膵神経内分泌腫瘍(NET)の嚢胞変性

嚢胞を形成するPNETは cystic PNETと呼ばれ、PNETの5~10%とされる。男女差、年齢層に差はなく、膵尾部に多い。充実部分は造影CT検査で早期から濃染される。嚢胞部分は単房性。

5) 充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)

若年女性、膵体尾部に好発 充実部分と変性や出血を伴う偽嚢胞部分が混在することが多い。充実部分は多血性で、造影CT検査で濃染。膵外側に膨張性に発育する境界明瞭な球状腫瘤。腫瘍辺縁や内部に石灰化を伴う(30%)。

6) 貯留性嚢胞(retention cyst)

分枝膵管がなんらかの原因で閉塞し、嚢胞状に拡張したもの。炎症や外傷、腫瘍性などがある。通常型膵がんや上皮内がんに伴う貯留嚢胞を認めることがあり、多くは良性であるが注意が必要。隣接する腫瘤の有無や尾側主膵管の拡張の有無を注意する必要がある。

3.嚢胞性疾患の種類と頻度、特徴

腫瘍性嚢胞には良性の嚢胞とがん化する危険性のある悪性の嚢胞があり、精査や定期フォローが必要となることがあります。


嚢胞性疾患の種類と頻度、特徴