午前8:30~11:30
午後13:30~16:30



前立腺がんの早期発見に重要な検査として、PSA検査があります。PSAとは、精子を保護する前立腺液に含まれているタンパク質です。がんや炎症によって前立腺の組織が壊れると、PSAが血液中に漏れ出します。血液検査でPSA値を調べることで、前立腺がんの可能性が簡単に分かるようになりました。
当科では、前立腺がんをより早く正確に見つけるために、「MRIフュージョン前立腺生検システム」という検査方法を導入しています。
この検査方法は、事前に撮影したMRI画像と、検査中に使う超音波の画像をコンピューターで重ねて合成し、がんの疑いがある場所を立体的に映し出して、ピンポイントで検査(生検)を行うものです。
これにより、まんべんなく組織を取る従来の方法では見つけづらかった小さな病変や、MRI上で明瞭な領域に対して、精度の高い診断ができるようになります。
特に、血液検査(PSA)の数値が高い方や、前回の検査でがんが見つからなかったものの依然としてがんの疑いがある方にとって、有力な診断方法となります。

手術は、前立腺と精のうを摘出した後、膀胱と尿道をつなぐ前立腺全摘除術を行います。
全摘除術は従来開腹で行われていましたが、近年は手術用ロボットを利用した腹腔鏡下手術が主流になっており、当院でもロボット手術がほぼ100%を占めています。

ロボット手術は下腹部に数カ所の小さな穴を開け、高精度のカメラや手術器具を挿入して行います。狭くて深いところも鮮明な視野のもと精度の高い手術が行えます。
そのため、従来問題となっていた術後尿失禁の量や期間も減っており、患者さんの苦痛の軽減につながっています。入院期間は10日程度と短期間になっています。

強度変調放射線治療(IMRT)はCTやコンピュータを使い、腫瘍に放射線を集中させる治療技術です。
放射線をどの方向からどの程度の線量で、どういった形で照射すれば最も効果的なのかをコンピュータを使って綿密に治療計画を立てます。
腫瘍の形状に合わせて放射線を照射するため、従来よりも高い線量の放射線を照射することが可能になりました。これにより治療成績は大きく向上し、副作用を軽減できます。
1回の照射時間は2分ほどで計39回行います。1日1回、週に5回通っていただき8週間程度かかります。
体を切らず治療中の痛みもないので、身体的な負担が軽い治療法です。日常生活を送りながら通院で治療できるのもメリットです。




泌尿器科 主任部長
ロボット先端手術センター 副センター長
山本 康雄

放射線治療科 主任部長
矢原 勝哉

放射線治療科 学術顧問
髙本 均