1.vNOTES(経腟腹腔鏡下手術)とは
当科では、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣のう腫など子宮の良性疾患に対する治療に、
おなかに傷をつくらない手術「vNOTES(経腟腹腔鏡下手術)」を実施しています。
このvNOTESを2023年度に105件行っており、国内で初めてロボット支援下でのvNOTESを行った実績も年間56件あります。腟からカメラや操作器具を挿入することで子宮や卵巣・卵管の手術が可能なため、おなかに傷をつくらず
患者さんの痛みや負担を大きく軽減します。
適応となる病気
- 子宮筋腫
- 子宮の壁(筋層)の中に発生する良性の腫瘍のことです。月経期間が長くなる、月経時の出血量が多くなる、月経時に強い痛みがあるなど、月経時に起こるものが一般的な症状といわれています。
- 子宮腺筋症
- 子宮の内側を覆っている子宮内膜に似たものが、子宮の筋肉の中にもできた状態のことです。月経痛、月経時の出血量が多くなる、不正出血、月経時以外にも腹痛や腰痛があるなどの症状が現れます。
- 卵巣のう腫
- 卵巣内に液体や脂肪がたまってしまう、触るとやわらかい腫瘍のことです。腫瘍が大きくなるに伴って、腹部膨満感、腰痛、下腹部痛、便秘などが見られます。
▼メールでのご相談・お問い合わせはこちら当院の婦人科には診察・セカンドオピニオン等で全国から多くの患者さんが来院されています。
大きな開腹創に不安をお持ちの方、早期社会復帰が必要な方、体に負担の少ない手術をご希望の方、vNOTESを検討されたい方は、岡山・近県はもとより遠方の方もぜひ一度ご相談ください。
2.vNOTESのメリット・デメリット
vNOTESは、微細な操作ができる腹腔鏡下手術と、おなかに傷が残らない腟式手術のメリットを併せ持っています。
腹腔鏡下手術
おなかに数カ所穴を開けてカメラと器具を挿入する
開腹手術と比較すると…
・痛みや出血量が少ない
・感染症のリスクが少ない
・入院期間が短い
膣式手術
膣から器具を挿入する
開腹手術と比較すると…
・おなかに傷が残らない
・痛みが少ない
・狭い視野で行うため難しい
vNOTES(経腟腹腔鏡下手術)
膣からカメラ・器具を挿入する
- メリット
-
- ・おなかに傷が残らない
- ・出血量、痛みが少ない
- ・入院期間が短い
- ・早期に社会復帰できる
- ・保険適応(他の術式と費用負担は同じ)
- デメリット
- ・症例によっては行えない
・医師の技術を要するため医療機関が限定される
3.vNOTESに関する当院の取り組み
国内で初めてロボットでも実施
2023年6月28日に国内で初めて、最新手術支援ロボット「ダビンチSP」を使用した、腟からロボットを挿入し手術を行う「ロボット支援下経腟腹腔鏡下手術」を実施しました。
ダビンチSPは1カ所の傷で手術が可能なため、その特徴を生かし、膣という元から開いている人体の穴を利用することにより、体に穴を開けない手術を実現することができました。
全国の医師を対象にセミナーを開催
より多くの地域・施設で安全にvNOTESが受けられるよう、全国の医師を対象にセミナーを開催し、教育的な普及活動に取り組んでいます。
セミナーでは、術式の基礎・適応についての講義やモデルを使用したトレーニング、手術見学などを通じて安全にvNOTESを行うためのレクチャーを実施しています。
4.その他関連リンク
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